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DIABOLIK LOVERSの救済の仕組み ~ 歌詞から読み解く解釈の差の実例集

「iD BEST」までにどこまで岩Dについて書けるかなあ。宣伝したいんですが。


Rejet岩崎大介の愛と暴力 ~ DIABOLIK LOVERSにおける救済の仕組み - talkoのブ()ログという記事を先日書き、そこで、「聴覚情報=声と、視覚情報=文字をルビで並列化し、発信者と受信者の意識のずれを浮き彫りにする」手法について触れたので、その実例をここでは収集しようと思う。

なお、ルビが当てられている箇所を網羅するのではなく、特に、ヴァンパイアと人間の解釈の差を表現するための個所を抜粋する。*1

対象はさしあたり、「SUPER BEST」収録の楽曲まで。特に興味を惹かれたものについてはコメントを付記する。
では、以下スタート。

「真夜中の饗宴」逆巻アヤト(CV.緑川光)、逆巻シュウ(CV.鳥海浩輔)、逆巻スバル(CV.近藤隆

《じぶん》〈本性〉
《いたみ》〈愛〉
《ためらいがち》〈他人行儀〉
《きおく》〈景色〉

  • 声の方が抽象度が高い例。相手の記憶はどうやっても覗き見ることができないゆえに、表層的な理解にとどまってしまっている表現と解釈できる。
「ADDICTED (2) PHANTOM」逆巻アヤト(CV.緑川光

《おもい》〈渇望〉
《ねがい》〈絶望〉
《こえ》〈悲鳴〉
《MEMORY》〈執着〉
《ラビリンス》〈世界〉
《すがた》〈幻想〉

  • 乖離が激しい。ここまでの誤解を実際の恋愛でしていたなら遠からず破局しそう。
「切断★舞踏会」逆巻カナト(CV.梶裕貴

《ねいろ》〈悲鳴〉
《したい》〈男〉
《せかい》〈現実〉
《オワリ》〈終演〉

  • 「終演」という表現はより正確な理解なのか、表層的な理解に基づく誤解なのか。前者であれば、カナトの錯誤を看破したことになるし、後者であれば、カナトの絶望を理解できないユイの姿が見えることになる。
「血濡れた密会」逆巻ライト(CV.平川大輔

《いま》〈常識〉
《シロップ》〈血〉
《モラル》〈品位〉

  • モラルとは本来「倫理、道徳」の意味。ライトの意図するところは「動物になれよ」ぐらい根本的なことなのだが、それを「品位」と解釈してしまうことによって、むしろ誤解しているところが面白い。品位を失う程度では人間のままでいられるからね。

《マンホール》〈◎〉

「ZERO」逆巻スバル(CV.近藤隆

《ヒヨって》〈畏怖って〉
《ちから》〈永遠〉
《フィルター》〈網膜〉
《しはい》〈征服〉
《くつじょく》〈痴態〉

  • かなり繊細な例だが、「怒り」と「恥」の対比が面白いので抜粋。

《うたれ》〈支配たれ〉

Farewell Song」逆巻シュウ(CV.鳥海浩輔

《もの》〈悲鳴〉

  • 逆巻家の長子・シュウがほぼ唯一見せる解釈の差がここ。この一点がなければ婉曲的な表現でまとまっている。逆に言えば、この一か所だけで光景がかなり強烈に凄惨な側に突き落とされておりまして、とても効果的だなと思う次第。
「とある預言者の、運命」逆巻レイジ(CV.小西克幸

《うやまう》〈溺愛う〉
《ざわめき》〈祈祷〉
《りせい》〈規則〉
《のうり》〈野原〉

  • 悩ましい解釈違い。この曲においては、文字列=歌詞は視覚情報であると同時に、視覚情報が文字列化されたものとなっている。つまり、歌詞の文字列自体はとても視覚的にまとまっていて、反面、歌詞の読み方は意味的に(あるいはレイジの考えそのままに)まとめられているのだろうと思う。
「幻日理論 -Parhelion Logic-」逆巻アヤト(CV.緑川光

《ナイフ》〈理論〉
《ひかり》〈罪〉
《ウソ》〈確信〉

  • この例を見るに、アヤトとユイ(主人公)のすれ違いは他のメンバーに比べて甚だしい。主人公がどれだけの確信を抱き、必死に訴えても、アヤトにとっては嘘としか映らないことになる。

《なくなる》〈自虐る〉
《げんじつ》〈幻日〉
《きぼう》〈灯〉

「極限BLOOD」逆巻アヤト(CV.緑川光)、逆巻シュウ(CV.鳥海浩輔)、逆巻スバル(CV.近藤隆

《クスリ》〈血〉

  • 血を何か別物に解釈することにかけては他の追随を許さない「DIABOLIK LOVERS」だけれど、なかでも「薬」はかなり踏み込んでいると思う。

《じぶん》〈夢魔
《うるおい》〈満足〉
《ねがい》〈嘘〉
《こたえ》〈真実〉
《オマエ》〈Ghoul〉
《あかし》〈傷痕〉

  • 《いたみ》を〈愛〉とした「真夜中の饗宴」の構造とは解釈が逆転している点がポイント。ユイの認識が「愛情を実感する前」まで巻き戻っているとも言える。前述の《ねがい》〈嘘〉も同様で、ヴァンパイア側が都合よく解釈している表現。

《ナミダ》〈自虐〉

「月蝕」無神コウ(CV.木村良平)、無神ユーマ(CV.鈴木達央)、無神アズサ(CV.岸尾だいすけ

《じぶん》〈人形〉
《わたし》〈月〉

  • 本当はここに抜粋するのは間違っているのだが、好きなので抜いちゃう(すいません)。ここでの《わたし》とそれを〈月〉に喩えているのは同一人物だ(そうでないと続く歌詞の〈貴方は蝕〉を受けられないので)。月蝕の構造上、「太陽‐地球‐月」の並びが想起されるのであり、だとすると、太陽は何か、地球(=蝕の原因)は何か? いや、そもそも《わたし》は誰か? 歌詞中にある〈貴方〉の表記、その属性として女性を帯びる月というモチーフから推測するに……

《おもいやり》〈自尊心〉
《STORY》〈都合主義〉
《ほしがってる》〈支配がってる〉
《おもいで》〈傷痕〉



……だいたいこんなところでしょうか。「SUPER BEST II」収録楽曲についてはまた次の機会で。

*1:例えば、「とある預言者の、運命」における《シュヴァルトヴァルト》→〈黒い森〉などは、解釈の差というよりは単に意識の差を翻訳した例と思われるので除外する。