文脈を担保するあれやこれ
「お前がママになるんだよ!」というツイートがネットスラング化していった変遷 - 根室記念館b.hatena.ne.jp
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この台詞が例えばエロ漫画ないしはこのような場面を描いた作品内の台詞としてのみ成立していたなら、「巧いこと言わせるもんだな」と感心するだけで済ませる人は増えただろうし、文脈って重要かつ繊細だよな
2016/05/07 19:26
思いのほか星がついたので調子乗ってもうちょっと考えてみる。
元ツイートは、
「お母さーん、じゃねえんだよ!今からお前がママになるんだよオラッ!」が無理矢理女子中学生に膣内射精する時に言いたいセリフ1位ですね
だそうだ(元ブログ記事の画像より書き起こし)。
このツイートが気持ち悪いかどうか、のような感性の話はとりあえずおいておいて*1、元発言がどのような文脈だと解釈されたか、その文脈を規定した個所はどこか、の話をしたい。
くり返すけれども、話したいのは文脈規定力の話だよ。
さて、元ツイートを見ると、なんといっても「言いたい」が圧倒的なパワーを持っている。「~たい」という希望・願望の助動詞が、暗黙の主語として(僕が)以外をほとんど受けつけないので、この「言いたい」で、文全体の主語が「僕」になっている。
で、「僕が」を補って文全体を再読すると、
「僕が無理矢理~射精する」という文が改めて立ち上がり、「そのような状況を想定するツイート主」という姿が浮かび上がる。
同じ理由で、実は「時」も影響力を持っている。主観性を高めにする印象を持つ語だからだ。
そのうえ「1位」という語で、2位、3位があるかのような含みが生まれ、「その場面についてあれこれ考えるツイート主」という姿も想起されうる*2。
実に効率的にツイート主の姿が錬成されている。単語ってのは意外なほどに様々な印象を生み出すものだ。
そんなわけで、元発言をちょっといじらせてもらう。例えば「言わせたい」で暗黙の主語をすり替え*3、「時」を「場面」に入れ替え、語順を入れ替え、「1位」を削除するとこうなる。
- 無理矢理女子中学生に膣内射精する場面で言わせたいセリフは「お母さーん、じゃねえんだよ!今からお前がママになるんだよオラッ!」です
複数考えている感を追加するとこう。
- 無理矢理女子中学生に膣内射精する場面で言わせたいセリフに「お母さーん、じゃねえんだよ!今からお前がママになるんだよオラッ!」がある
創作ですよ、ネタですよ感を増し増しにするには主語を立てたほうがわかりやすい。
- モブが無理矢理女子中学生に膣内射精する場面で言わせたいセリフは「お母さーん、じゃねえんだよ!今からお前がママになるんだよオラッ!」です
……くりかえすけど、「創作・想像だったら許されるのか」「ネタなら許されるのか」みたいな話はここではしない。
しないのだが、
文脈を過たずに表現できているのか?
という問いかけはあっていいかなと思った。
上記のように「文脈」のすり替えを行った例を見て、「こう書いてあったら受け取り方が違う」と感じてくれたら、「この発言は文脈の表現がずれていないか?」をたまに考えてみてもらえると嬉しい。
失言は失言だし、ゾーニングは重要。Twitterはゾーニングに向いていない、もその通りだと思う。
けど、技術的に文章力が不足していたり、字数の制限があったりなどの状況下で文が下手うった場合に、それが即座に人格攻撃に繋がるのは厳しすぎだよね、とも感じている。
特にその道のプロでもないならなおさら。