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作品の楽しみ方に〈探索型〉と〈観光型〉とがある説

みなさん、今日もゲームしてますか! そして、攻略情報、見てますか!


……というわけで、幅広く「ゲーム」を遊ぶことを考えたとき、「攻略情報を見るか、見ないか?」というポイントがあると思うんです。作品のタイプや、作品(のとある場面の)難度*1に影響されたり、もちろんネタバレの大きさとか、そういう、いろんなものの兼ね合い、複合的な判断で、攻略を見たり見なかったりするのではないでしょうか。

例えば謎解きゲームにおいて、攻略情報をすべて見てしまえば、もはや実質ノベルだ!とか、ノベルゲームにおいて正解選択肢を全部見てしまえば、それはもう音付き小説なのでは!とか、攻略情報がゲーム性を骨抜きにしてしまうパターンがあると思います。

一方で、いくら攻略情報、あるいは攻略動画を観たところで、手もとの操作が追いつかず、「できる気がしない!?」ってこともありますよね。その場合は、攻略動画なんて単なる見本、お手本にしかすぎません。


さて、私がたびたび取り扱う「乙女ゲーム」には、攻略情報の一歩手前に、こういうのがあります。

オススメの攻略順問題。

これがもう、実に根強い。攻略情報そのものは見なくても、これを確認している方は多いのではないでしょうか。
ネタバレは見たくない。でも、まかり間違って興ざめな順番で攻略してしまったらもったいない。
そんな思いが、「オススメの攻略順は?」という問いになって出てくるのだと思います。

物語の核心に迫る――つまり作品の物語の全容がまるっと見えてしまう――ポジションの人を後回しにするような感じでオススメされる場合が多い気がします。なんとなく。


この「オススメの攻略順」というのが、ほんとうにナビゲーターみたいだなあ、と感じて、それでふと思ったんですよ。作品に触れるにも、〈探索型〉のアプローチと〈観光型〉のアプローチがあるのではないか、と。これは別にノベルゲームに限った話ではなくて、攻略情報を片手に、次に表れるものを知りながら進めていく場合は〈観光型〉でしょうし、ネタバレを極力避け、一体何が起こるのか分からず待ち構えながら進んでいく場合は〈探索型〉と言えるでしょう。

〈探索型〉と〈観光型〉はオンオフというか、排他的とは限らなくて、謎解き部分は攻略を見るけど、ストーリーはネタバレを一切見ないとか、敵のステータスは全部見るけど倒し方のコツは見ないとか、複合的なアプローチになりうるはずです。重要なところは自力で頑張るけど、小さいあれこれは見逃したくないから攻略を見る、とか、そういうバランスもありえますよね。

〈探索型〉のほうが、自分であれこれ探って確認しなければならない分、回り道やロスも多くなるはずで、基本的にはかかる労力は〈探索型〉>>〈観光型〉だと思います。

そして、しばしばその〈探索型〉のコストは、大きすぎる。

これは私個人の話ですが、大体の場合、自分が本気で大好きになりそうな作品は〈探索型〉にしたがります。時間を費やして本気で考えることが楽しいからです。一方で、ゆるく、手軽に、あるいは時間がない中でも隅々まで楽しみたい時には、攻略情報をどんどん参考にし始めます。あとはあれですね、失敗できない系ソシャゲとか。〈観光型〉だから愛が薄いってこともなく、とにかく時間や労力のロスを嫌って、わき目もふらずに美味しいところを逃さず味わいたい!という時も、〈観光型〉アプローチを併用するんですよね。


と、そんなことを考えてました。
今の自分が、ある作品に対して触れようとするとき、自分が〈探索型〉と〈観光型〉のどちらのアプローチを取ろうとしているか、どちらを取るのがより楽しめるか?と考えることで、作品との付き合い方がより自覚的に、スマートになった気がします。


ところで、AD-LIVEは*2、即興劇という性質上、必然的にものすごく〈探索型〉アプローチに寄らざるを得ません。〈観光型〉にしにくいんですよね。ここ、AD-LIVEを人に紹介するうえではすごく難しいポイントだと思っています。

AD-LIVEプロジェクト公式が自らセレクションをして提示してくれる機会がありました*3が、あの時に思いました、彼らはこの難しさを分かっているに違いない、と……。だってあまりに素晴らしいセレクトでしたから。完璧でした。


そんなわけで、AD-LIVEプロジェクトには、どこかで大きな〈観光型〉アプローチの手はずを整えてほしいんですよ。この際、全部の公演のレポートをまとめたガイドブックとか、いいと思うんですけど!

*1:難易度、としないのは、易しさよりも難しさに力点があると思うので。

*2:私はほんとうにAD-LIVEの話ばかりしていますね。楽しくってつい。

*3:ニコニコ動画の一部無料公開などの形態。ファミリー劇場での放映はひらたく全部やっているのでまた別もの。