AD-LIVE 2017 10/15(日)昼公演 考察 蒼井翔太・浅沼晋太郎(リピート用ログ)

AD-LIVE2017 10/15(日)昼公演の大きなネタバレを含むので、未見の方はこのまま閉じてくださいませ。

本エントリは、私のように「ライブビューイングも観て、あとりぶも観る」、しかも舞台の仕組みその他もできるだけ考えたい!という、奇特な方のために即興で(アドリブで)書きつけるものです。
当然のことながら、ネタバレしまくります。……が、クリティカルなものは反転伏字にしたいと思います。今年度は情報量が多く、いろいろと拾いきれていませんが、どうかご了承ください。

出演者

Aキャスト:蒼井翔太
Bキャスト:浅沼晋太郎
彩-LIVE :辻本耕志、砂川禎一郎、廣瀬詩映莉、猪狩敦子*1

2人の関係

侵入者と家主

ではしばし開けて……






どうぞよろしくお願いいたします。

  • ここは久我山星太郎*2(演:浅沼晋太郎)の自宅。どうやら近所のコンビニに行っているのか、留守のようです。そこへ、ピンクの髪、アホ毛を立てた青年、桐山ワタル(演:蒼井翔太)が侵入したところから物語は始まります。
    • ソファの下から身体を無理やり引っ張り出したワタルは、戸惑いながらも室内を物色。そこへ帰宅した久我山と鉢合わせ、「早ッ!?」と叫びました。不法侵入されているのは久我山のほうなのですが……
      • 蒼井さんの「もっと尺があるかと思った」というセリフに笑いが起きる場内。初手からメタっぽいセリフを出してしまうという蒼井さんの「強い」プレイが、以降もたくさん飛び出してくれます。
      • 久我山の服装は和服に羽織という文筆家スタイル。浅沼さんのすっとした立ち姿に大変よくお似合いでした。
    • 明らかに怪しい青年。名前を聞いても「座敷わらしです」と訳のわからないことを言う彼に困惑し、警察を呼ぼうとする久我山ですが、それをワタルはなんとか押しとどめます。そこへかかってくる電話。久我山が出ると、電話をくれたのは編集の高橋さんでした。新作のラフを受け取りに部下が向かいましたので、と言う高橋に、久我山はワタルがその部下だと一応納得。高橋の言葉を受けて、まあ良かったら新作のアイデア出しを手伝ってくれ、と言いますが、あまり期待していない様子です。
      • 浅沼さんがとりあえず「座敷くん」と呼ぶことに決めた采配にほっこりします。展開の要請もあり、久我山は根本的なところで人が好いというか、他人に冷たく当たれない人になっており、これが後々にも効いているように思えます。

第1のヒミツ

【ネタバレ】 久我山には、志なかばで書くのをやめた小説がある

  • 久我山の職業はライトノベル作家。今は新作用のアイデア出しの期間なのです。とりあえず追い出される心配は無くなったワタルは、高橋の言っていた通り、久我山のアイデア出しを手伝おうとします。
    • 過去の作品に意識を向けさせ、クローゼットから過去の資料を引っ張り出すワタル。そこにあったのは、かつての久我山の大ヒット作、通称『俺異世』*3の資料やファンブックでした。「これ! これがいいです!」と一気に前のめりになるワタルですが、久我山の反応は薄いまま。
      • テーブルの上や机の上にはラノベ風新作ラフが撒き散らされていた様子。中でも「右のライト、左のレフト」は強烈です。『AD-LIVE』公式Twitterアカウントで資料が公開されました。また、ダンボール一箱ぶんにもなる過去資料の束も、妙に生々しいです。ファンブックは装丁から中身までバッチリ。全ページ見てみたくなりますね。

第2のヒミツ

【ネタバレ】 この部屋のどこかに、久我山が大切にしているファンレターがある

  • そこへ唐突に強烈な光が! すべての物理法則を無視して現れたのは、ピンクの髪の魔法少女、ミルルン(演:廣瀬詩映莉)でした。
    • ミルルンはワタルを見るなり大喜びですが、ワタルはうんざりと言わんばかりに邪険に扱います。一方、またしても不法侵入されてしまった久我山は、困るよ、とワタルに文句を言いつつも、ミルルンの服装と『俺異世』のファンブックを見比べ、コスプレイヤーか、と納得します。考えてみたら座敷くんもそういう感じか、と強引ながらも了解しました。
      • 実はこの時点でひとつ想定外のことが起きており、【ネタバレ】蒼井さんが髪をピンクにしたという食い違いが発生していました。楽屋を覗きに行った鈴村プロデューサーが事態を察し、急遽【ネタバレ】過去の資料のイラストに手書きで「4巻以降はピンクになる」と髪を指して記入。「浅沼くんならこれで分かってくれるはず!」という読みだったそうです。この資料も公式Twitterで公開されております。
      • ここでの蒼井さんのプレイが大好きです。蒼井さんの抱えたヒミツ【ネタバレ】ヒロインの夢澤あいりと結ばれたくて、それを久我山に頼みに来たという事情から、ミルルンに対する態度がきつめになっています。時に拳に訴えるポーズを見せるなど、無音の芝居も縦横無尽に使いこなし、大活躍でしたね。
    • なんとかごまかし切った(?)ミルルンは、久我山先生の過去作についてクイズを出題してきます。処女作、そして『俺異世』について。しかし、久我山は自分の著作にもかかわらず『俺異世』についての記憶は曖昧。ファンブックに頼らないと主要人物のことすら覚えていません。いったいなぜ、と戸惑うワタルに対し、久我山はついに怒りをあらわに、【ネタバレ】「なんで覚えてないか分かるか! 思い出したくもないからだ!!」と怒鳴ります
      • 中盤の名シーンだと思います。舞台、観客席を呑み込む浅沼さんの大波でした。これは私見ですが、AD-LIVEを含む即興劇においては、「怒る」「怒鳴る」という表現は他の感情に比べて一段階難しいと考えています。怒りという一種の瞬間沸騰は、それが自発的なものであれ、他者に喚起されるものであれ、舞台を把握する冷静な視点とはやはり若干両立しにくいだろうと思うからです。一度怒ってしまうと、あまり一気に冷めることもできませんしね。そんなわけで、『AD-LIVE』の舞台においてメインキャストが「怒る」「怒鳴る」場面はどれも思い切りの良い踏み込みというか、技の結実が含まれているなあと感じる次第です。該当例としてすぐに思い浮かぶのは2016年の鈴村さんの「俺たちだって努力した!!」、2017年の鈴村さんの「正義ってのはそういうことじゃないんだよ!!」でして、こういうところからも鈴村さんがAD-LIVEの名手であることが感じ取れるなあと思います。
      • ちょっと時系列があいまいなのですが、このあたりでミルルンが「ミルルンハリケーン」で内装を破壊し、「ミルルンテレポート」で部屋から消えたりしていたかなと思います。ミルルンの"本物"要素のアピールがあったはずなのですが、その後ミルルンが戻ってくるあたりの時系列の記憶が激しく飛んでます。

第3のヒミツ

【ネタバレ】 桐山は『俺異世』の続きを久我山に書いてもらわないとヤバイ

  • 久我山の苛立ち、憤りに触れてしまっても、ワタルは諦めるわけにはいきません。ただただ『俺異世』の続きに執着しています。と、そこへチャイムが。やってきた男(演:辻本耕志)は、「高橋の言いつけで来ました、座敷わらしですぅ」と名乗ります。
    • やってきた男のほうが本当の高橋の部下であると確認した久我山。だとしたら、先に来ていたワタルは一体何者なのでしょう? 困惑する久我山を尻目に、編集者*4は、ワタルとミルルンを一目見てコスプレパーティーかと早合点し大喜び! 「俺も『俺異世』の大ファンなんですよ!!」と、なぜか持ち歩いているキャラのコスプレ衣装に着替えてきます!と勝手に着替えてしまいました。
      • マントを押し付けられて、一度は着た久我山が、その後すぐに「暑い」と脱ぎ捨てるくだりが好きです。実際に暑かったこともあるとは思いますが、『俺異世』を遠ざけようとする態度としてもさりげないながら見事かと。なお、あのマントをしているとアドリブバッグも半封印状態になります。AD-LIVE2016で下野紘さんがバッグ封印の憂き目にあったことを思い出し、こっそり楽しくなっておりました。
    • 3人の盛り上がりを受けても久我山は気が変わりません。机の上のメモを付箋を見てみろ、という久我山に、ワタルは貼り付けられた付箋に目を向けます。久我山は声を震わせ、【ネタバレ】「夢じゃないかと思って、でもリビングに戻るたびにその付箋があるんだ、何年も、ずっと」と語ります。久我山が喪ったものは大きく……自ら「嫉妬だ」と認めながらも、やはり久我山は深く深く傷ついていたのでした
      • 浅沼さんの語りのディテールに震える一幕。【ネタバレ】家族、仕事の名声という事物に対して、付箋、後輩の新作小説、古本屋という具体的なエピソードで詰めているところが匠の技でした。【ネタバレ】キャラクター設定としては「ライトノベルの作家で、以前大ヒットを出したが今は低迷している、奥さんに逃げられた」という内容だったそうで、ここをちゃんと考え抜いた結果、いわば事前準備の範疇ではあろうかと思います。また文筆家の衣装はコンプレックスの表れという表現でしょう。
      • なお、このくだりがあまりに素晴らしかったために、【ネタバレ】演出部が「妻を出そう」と即決。舞台裏でボロ泣きしていたという猪狩敦子さんを鈴村プロデューサーがひっつかみました。これに対し浅沼さんが【ネタバレ】「それ、関(智一)さんの公演で俺が辻本さんにやったやつですね」とコメントしたりも。

第4のヒミツ

【ネタバレ】 久我山は小説家を引退しようと思っている

  • 自らの本心を認めた久我山は、ついにワタルたちの説得に折れました。その代わりとでも言うように、「続きを書いたらそれを最後にしてほしい」と。そこで部屋に集まった皆は『俺異世』の続きを考え始めます。
    • 時空の狭間に陥ったまま、続きが書かれていないワタルをどのようにすればよいのか……ミルルンテレポートの極意「恋する気持ち」を、ミルルンがワタルに伝える。ミルルンは自分の恋を押し殺す……という切ない展開が描かれかけたところへ、チャイムが鳴ります。
    • やってきたのは、久我山の妻(演:猪狩敦子)でした。目を合わせようともしない久我山に、妻は勝手だった自分の態度を詫び、久我山が過去に受け取ったファンレターを棚から持ち出してきます。『俺異世』の大ファンだった女の子からの手紙。1通、2通……と読み上げていく妻の声をただ聞く久我山。しかしそこに、謎の声が鳴り響き……!
      • 本来出る予定のなかった猪狩さんの登場となりました。手紙を読み上げる際に何度もつっかえていたのも、直前で登場が決まったために稽古していなかったからということのようです。また、逆の形で影響を受けたのは辻本さん。最終場面での役目を妻側に譲り渡すことになったそうです。

最後のヒミツ

【ネタバレ】 桐山は久我山に伝えたいことがあって小説の世界から来た

  • 突然現れたのは、なんと小説界の守護神・イレイザー(演:砂川禎一郎)でした。
    • 【ネタバレ】小説のキャラクターと作者が出会うことは禁忌、と言うイレイザー、ワタルとミルルン(とコスプレした編集者)にその圧倒的な力を向けます。最初は編集者が飛ばされ*5、そして次はミルルンが! しかしミルルンは魔法を使い、ワタルのためになんとかイレイザーの力を食い止めます。久我山とワタルは彼らの武器を手に、ついに必殺技を放ちます!
      • 武器は【ネタバレ】万年筆型の「ペンフレンド」。上から吊るされて降りてきたのですが、二人の立ち位置の関係で浅沼さん、蒼井さんの背中側に降りてしまい、「浅沼くん後ろ後ろー!」「蒼井くん後ろ後ろー!」という状態だったそうです。当然浅沼さんもこの登場を知らず、鈴村さんは「浅沼くんの目を盗んで、彼が帰ったらすぐに仕込んでます」、浅沼さんは「大阪公演に来ると早く帰されるんですよね」とコメント。なお、鈴村プロデューサーいわく、「過去の数度の検証の中で、もっとも立ち位置がうまく行っている回」でもあるそうです。
    • 必殺技を放ち、イレイザーを追い返した二人。ワタルの正体を察した久我山は、続きを書くと約束してミルルン、ワタルを送り出します。残された久我山と妻。久我山は【ネタバレ】ワタルのキャラ造形はお前から取ったんだと打ち明けます。やり直せないか、と言う妻へ、久我山は……
      • 浅沼さんの圧巻のまとめ2連発に、立て続けに観客席がどよめいた場面です。LV会場でも大きな声が上がっていました。いやはやしかし、あまりに凄いです、ここは。劇中で起きたことをストックし、整頓し、すぐに取り出せるように準備して……もちろんアイデア、発想力もあってこそ。圧倒される離れ業でした。

結末の行動

【ネタバレ】 新作を書く*6

カーテンコールでの浅沼さん曰く、【ネタバレ】「こんな展開になったから、劇中で1本話を書かされるのかと思った」とのこと。豊永利行森久保祥太郎の夜公演を観ていたこともこの発想の根拠のひとつかもしれません。こういう話になるとは思ってなかったでしょ、と鈴村プロデューサーに言われて頷く浅沼さんや、蒼井さんが「浅沼兄さんに甘えまくりで、途中では彩-LIVEの皆さん側にいましたね」とコメントしておられたのも記憶しています。

ちょっと時系列やらの記憶があまく、正直くやしいなあと思ってます……もう一度観られるのが楽しみです!

*1:猪狩さんは当初の出演者表にはお名前がありませんが、急遽のご登場がありました。

*2:「くがやま せいたろう」と読みます。

*3:正式タイトルは『俺が異世界に行ったらネットが炎上して世界がやばい』みたいな感じでした。……すいません、ちゃんと覚えてません……あとりぶで確認します。追記:『俺が異世界でバトルしたらネットが炎上した』でした。

*4:すいません、本名失念しました……あとりぶ後に追記します。追記:「瀧口」さんでした。

*5:近所のコンビニ、という近距離でした。最終場面への小さな布石でしたが、結果的に使用されませんでした。

*6:カーテンコールでのコメント、最後の蒼井さんの行動から。