AD-LIVE 2017 10/14(土)夜公演 考察 高垣彩陽・津田健次郎(リピート用ログ)

AD-LIVE2017 10/14(土)夜公演の大きなネタバレを含むので、未見の方はこのまま閉じてくださいませ。

本エントリは、私のように「ライブビューイングも観て、あとりぶも観る」、しかも舞台の仕組みその他もできるだけ考えたい!という、奇特な方のために即興で(アドリブで)書きつけるものです。
当然のことながら、ネタバレしまくります。……が、クリティカルなものは反転伏字にしたいと思います。今年度は情報量が多く、いろいろと拾いきれていませんが、どうかご了承ください。

出演者

Aキャスト:高垣彩陽
Bキャスト:津田健次郎
彩-LIVE :辻本耕志、砂川禎一郎、渋木のぼる、小山めぐみ、猪狩敦子

2人の関係

仕事のパートナー


ではしばし開けて……






どうぞよろしくお願いいたします。

  • 舞台は、売れっ子漫画家、一岡モミジ(演:高垣彩陽)の仕事場。アシスタントの二藤じゅんいち(演:津田健次郎)ともども、今月の原稿を描き上げ*1、まったりしているところです。
    • ベレー帽に伊達眼鏡で「いかにも漫画家!」というモミジ、漫画家の仕事場にもかかわらず黒一色のゴスロリ風スカートにブーツの二藤。二藤は口調や仕草もふりふりしており、まるで女の子のよう……ですが、内心はきっちり男の模様。もうひとりのアシスタント、四谷(演:小山めぐみ)も混じり、今月も大変でしたね、と言いかわすところへ、編集の三田(演:猪狩敦子)が原稿を受け取りにやってきました。
      • この津田さんの「女装」という役作りも津田さんオリジナル。ごくわずかなキャラクター設定から、「一岡モミジは少女漫画家」と決め込み、そのモミジへの憧憬や二藤の内心を詰め込んだ結果がこの衣装として発露しているのだそうです。部屋の本棚にあったコミックス*2からもその読みの的中は察せられました。
    • 三田の登場に緊張する3人。すぐに原稿をチェックし、まったく問題ないです、と大満足した三田は、御礼を言って編集部へと戻っていきました。「……この瞬間が一番緊張する……」とこぼしたモミジ。四谷も二藤も神妙に頷きます。

第1のヒミツ

【ネタバレ】 二藤じゅんいちは一岡モミジのゴースト漫画家

  • 編集の三田には言えない秘密を抱えた3人。もう10年近くもこの状態を保っているのです。
    • とりあえず締め切りという一山は越え、まったりムードの職場にかかってくる電話。四谷が受けてくれましたが、「オカサン、オカサン」とたどたどしく繰り返すだけだった、とのこと。
      • 「お母さん」と「(一)岡さん」がかかっているのを使用しているのだと思います。あるいは、ここが二重にかかるように「一岡」としたのかも。また、この公演に特異な点として、ヒミツの二重性があります。多くの場合「ヒミツ」として提示される文言はいわばガイドとなり、物語の進行方向を規定するものとして作用しますが、ここで表示されたヒミツは「モミジ・二藤・四谷の秘密」そのものであり、劇中で明示されつつも長らく秘密扱いされる、という独特の形になっています。このように、「ヒミツ」の機能は毎公演、それぞれのヒミツごとに異なり、そこがまた興味深いのですよね。
    • 三田が残した「二藤ちゃんも四谷ちゃんも、いつまでもアシスタントじゃいられないもんね。オリジナルの原稿見せてね」という言葉が尾を引いているモミジと二藤。モミジにとっての二藤はもはや欠かすことはできない存在ですが、二藤にとってはどうなのでしょうか。二藤は「私、先生のお話が本当に本当に大好きなんです」と語ります。
      • 津田さんの線引きがばっきばきに決まっております。モミジと二藤の、はたから見れば歪な、しかし強固な結びつきが固定され、以降、二藤の意外なほどに頑固な路線が確立していきます。

第2のヒミツ

【ネタバレ】 モミジには好きな人がいる

  • しかし、長い時を重ねれば変わる人間関係もあります。仕事場に突然訪ねてきたマイケル・ジェファーソン(演:砂川禎一郎)は、慌てるモミジに「どうしても会いたかった」と訴え、結婚の話を持ち出します。
    • いわば盟友とも呼べるモミジの突然の結婚話に仰天する二藤。マイケルと結婚するということは、モミジもアメリカへ行ってしまうということ。なら、二藤と二人三脚状態のこの連載の行方は……?
      • AD-LIVE 2017においては、キャラクター設定は(通常の演劇同様に)作劇に都合よく仕立てられております。ここでは【ネタバレ】「国際結婚→モミジが外国へ→二藤と距離が開く」というロジックで、二藤にとっては外側から彼らの関係性が脅かされる作りです。しかし、ここで二藤が折れない、譲らないために、次は二藤にとっての内側から二人の関係は脅かされることになります。
    • マイケルを追い返したモミジは、それでもマイケルとの関係をポジティブに語ります。まさか私が国際結婚なんて、と言うモミジは、それでも幸せそうでした。
  • 驚きさめやらぬ仕事場に、またしても鳴るチャイム。今度訪ねてきたのは、テレビ番組の取材でした。
    • 入ってきた渋谷ディレクター(演:辻本耕志)とADの六車(演:渋木のぼる)は、一岡モミジの密着取材にやってきたのでした。ありのままで結構です、という二人に、苦々しい顔を見せてしまうモミジと二藤。二人の仕事のあり方を見られては困るのです。
      • 渋谷ディレクターはまさかの再登場。9月11日 夜公演でも出演していたキャラクターで、衣装もまったく同じでした。メインキャストを横目に鬼盛甚五郎の看板番組『鬼はウチ!』についての会話をする、という、AD-LIVEに通っているファンへのサービスまで。ありがとうございました。
      • 【余談】一岡、二藤、三田、四谷と来て、六車となるので、五の項が飛んでしまいました。空白に埋まるべきはおそらくマイケルであり、ここで妄想をたくましくすると、元々は例えば五木さんだったんじゃないか、脚本が校を重ねて婚約者枠の設定が変化したんじゃないか、なんて考えることもできます。ついでに、このような名前付けが印象的な作品のひとつに、高橋留美子めぞん一刻』があります。一の瀬、二階堂、三鷹、四谷、五代、六本木、七尾、八神、九条、音無のゼロ、ということで、「四谷」がかぶっていたりして。

第3のヒミツ

【ネタバレ】 二藤じゅんいちは連載を終わらせたくない*3

  • 2人の困惑をよそに、渋谷と六車は取材を開始してしまいます。
    • ところ構わずカメラを向ける六車をなんとか制御しようとするモミジですが、六車は引きません。あらゆるところを狙います。
      • ここでようやく明らかになる連載タイトルは高垣さんの引いたアドリブワード「with you」でした。背筋が震えるほどの一点引きであり、高垣さんもこのワードに関してはめちゃくちゃ使用をためておられたようです。なぜかというと、「with you」は、昨年の釘宮理恵さん・高垣彩陽さんの公演において、高垣彩陽さん演じる響 歌子の歌った楽曲として登場していたものだから。ここまでのシンクロとなると、このアドリブワードを投稿した方もちょっとした狙いがあって投げ込んだと思われ、それをこのタイミングで見事に引き当て*4、きっちりはめ込むというところまで含め、奇跡と表現して差し支えない仕上がりだと思います。
    • インタビューをさせてください、と渋谷はモミジと二藤を並んで座らせ、代表作について、今までのこと、これからの展望について、アシスタントから見た一岡モミジについてなどの質問を重ねます。秘密を守りながらも、二藤からモミジへの揺るぎない信頼、敬愛が垣間見えるインタビューでした。
    • しかしそこへ突然、編集の三田が戻ってきます。なんと、彼女のミスでトビラ絵の発注が漏れていたというのです。今すぐ1ページ追加で描いてくださいと、泣きそうになりながら頭を下げる三田と、これはナイスハプニングだとばかりに食いつくテレビ局スタッフ。カメラの前で描かざるを得なくなるモミジ。必死にフォロー、あるいはごまかそうとする二藤と四谷ですが、残る3人がモミジを逃してくれません。なんとか彼らの視線をかいくぐり、【ネタバレ】モミジの代わりにトビラ絵を描こうとする二藤ですが…
      • 究極のドタバタ劇の場面でした。最高ですね! 二人羽織したり、視線をそらそうとしてみたり、挙句の果てにはモミジ、二藤を追い回す六車という舞台全体を使った追いかけっこ! カーテンコールで鈴村プロデューサーが、「俺、『AD-LIVE』ってある意味ではドリフだと思ってるところがあるから、『AD-LIVE』で追いかけっこがやれて本当に嬉しい!」と語っていました。
    • どうにもならない事態に、ついに四谷が音をあげてしまいます。「もう無理ですよ、隠せませんよ、ばらしましょうよ…」とぐずぐず泣き始める四谷の態度から何かを察した三田がモミジ、二藤に詰め寄ります。
      • 撮影しないで、という要望を受けて「こうやってカメラの前に立ってますから映りません」と言う六車ですが、ちょっとした隙に一歩横にずれ、さらには渋谷と並んで三角座りで待機状態に突入してしまいました。この変化をちゃんとライブビューイングのカメラが抜いてくださいまして、ほんとカメラさん、スイッチャーさんありがとうございます!
      • 舞台上の登場人物数としては最多クラスの本公演ですが、以降、渋谷&六車は最後付近まで待機状態。「30分ぐらい座りっぱなしだったよね」と笑う鈴村プロデューサーに対し、「気づいてはいたんだけど、彼らに触れるととっちらかっちゃうし……」というコメントが出ていたのを記憶しています。
  • 全部話します、というモミジ。ついに観念したモミジと二藤は、お互いの関係を明かします。
    • 【ネタバレ】だから私にはトビラ絵は描けない、と告げるモミジ。あらゆる苦言を覚悟したモミジたちに、三田は【ネタバレ】あっさりと「じゃあ二藤さん描いてください!」と宣言。三田にとって必要なのは「with you」のトビラ絵であって、それが二藤の絵であっても構わないのでした
      • ある意味、超リアルな場面だと思います(笑)。【ネタバレ】作劇と作画が分かれているユニット漫画家の例は多々ありますし、作品が仕上がるなら問題ないと三田は判断したのでしょう。やり手編集者だと思いました。

第4のヒミツ

【ネタバレ】 二藤じゅんいちはもう漫画が描けない

  • しかし……二藤は、さきほどボロクソにけなされたトビラ絵を見せます。【ネタバレ】これは私が描いたんです、と
    • さっきまで描けていたのに?と憤る三田に、二藤は手を腱鞘炎と骨折で痛めたことを打ち明けます。絶望が漂った仕事場で、二藤はモミジに【ネタバレ】「先生は描けます、ずっと練習してたじゃないですか」と訴えます。しかしモミジは……
      • ここ以降のくだりは、二藤への追い込みが猛烈にキツイです。第4のヒミツも二藤を内側から追い込む方向に作用しており、この印象から、私は「第4のヒミツは当日書き換えられたのでは」と推測しています。なんとかして二藤にヒミツを白状してもらわなければならないために、強引にピンチを作ったのでは?と思えるのです。

最後のヒミツ

【ネタバレ】 一岡モミジはお気に入りのペンを失くしてから絵が描けなくなった*5

  • 【ネタバレ】あのペンがないと無理なの、と、思い出とともに語るモミジ。だったら探すしかない、と皆はモミジの記憶をたどり、部屋中をひっくり返します。
    • そんな中、二藤のかすかな違和感をとらえた三田が、「その左手、何を隠してるの」と詰め寄ります。ひたすらに逃げ、躱そうとする二藤ですが、三田は諦めません。
      • 四谷が退場してしまっているために三田を演じる猪狩さんが孤軍奮闘、大奮闘する羽目になった場面。終演後のカーテンコールでも、鈴村プロデューサーからの「二藤を白状させろ」という指示が飛んでいたことが明かされております。脚本上の流れではこの場面に至る前に白状するタイミングを用意してあり、何度かの検証会でのヒアリングでは「あの流れなら打ち明けやすい」という感想だったそうで……。その結果を踏まえ、鈴村さんとしては「津田さんなら白状してくれるはず」という見込みでいたらしいのですが、津田さんが踏み込まないために猪狩さん演じる三田が締め上げる流れになったとのこと。津田さんのキャラづくりの影響によるこの変化について、鈴村さんも「これだけ引っ張ってくれたからこそ、ドラマとしてすごく盛り上がったね」とコメントしていました。
  • 【ネタバレ】二藤は自分がペンを隠したことを打ち明け、モミジに謝罪します。今ならモミジにもきっと描くことができるでしょう。マイケルもやってきて、モミジの結婚についても話すことができました。これからは海外から納品を……と言うモミジに三田は快く承諾。同時に三田は、二藤にもよい病院を紹介するからちゃんと治して、と促してくれました。
    • すべてはまるく収まり、さあトビラ絵を、というところに、実はずっといたテレビ局スタッフからの要請が。今までの経緯をぜひまとめて語ってくれ、という要望に、三田からの許可もおりたため、モミジと二藤は並んでカメラの前に座りました。今までの経緯、秘密のこと、そしてこれからのことも……

結末の行動

【ネタバレ】 新しいタイトルを発表する*6


あー、思いっきり書きました。
この公演は、実は先の展開それ自体は読みやすい公演でして、決着に至る会話回しや顛末を楽しむものとなっています。
そこを津田さんが存分に引っ掻き回し、引っ張り続けるために、ドキドキじりじりする感覚が生まれるという、本当に珍しいタイプの公演になっていると感じました。大好きな公演です。

はやくもう一回観たいです!!

*1:……超細かくてアレなんですけど、最初の状況説明では「書き上げ」という表記になっていました。

*2:「ねこねこ★びより」というタイトルは見えました。そのほかもすべて架空のタイトル。すごい作り込みですよね。

*3:個人的な推測にすぎませんが、ここで高垣さんがこっそり見事な采配をしているように思えます。【ネタバレ】「じゅんいち『は』」を読み取り、「モミジは連載を終わらせたい」と推測しているのではないでしょうか。

*4:使用せずにためておける時間にも限度があります。しかし、さすがにこのワードに関してはかなりためたように見えます。

*5:第4のヒミツからの間があまりありませんでした。

*6:ほかにちょっと思いつきません……