AD-LIVE 2017 10/14(土)昼公演 考察 津田健次郎・高垣彩陽(リピート用ログ)

いやあ、なんとなく久しぶりですね!

AD-LIVE2017 10/14(土)昼公演の大きなネタバレを含むので、未見の方はこのまま閉じてくださいませ。

本エントリは、私のように「ライブビューイングも観て、あとりぶも観る」、しかも舞台の仕組みその他もできるだけ考えたい!という、奇特な方のために即興で(アドリブで)書きつけるものです。
当然のことながら、ネタバレしまくります。……が、クリティカルなものは反転伏字にしたいと思います。今年度は情報量が多く、いろいろと拾いきれていませんが、どうかご了承ください。

出演者

Aキャスト:津田健次郎
Bキャスト:高垣彩陽
彩-LIVE :辻本耕志、砂川禎一郎、渋木のぼる

2人の関係

兄妹


ではしばし開けて……






どうぞよろしくお願いいたします。

  • 長期の旅行から帰ったばかりの小宮樹里(演:高垣彩陽)は、久しぶりに会う兄の誕生会の準備をしていました。今日は大好きな兄、小宮俊治(演:津田健次郎)の誕生日なのです。
    • アタッシェケースを片手に樹里の家へとやってきた俊治。小学生さながらの赤いスカート・ランドセル姿の樹里に驚く俊治ですが、樹里は「久しぶりに見つけたの! お兄ちゃんを驚かせたくて」とご満悦でした。
      • 津田さんのみならず、彩-LIVE(特に渋木のぼるさん)や演出部をも「まさか小学生!?」と引っ掻き回した高垣さんの衣装でしたが、【ネタバレ】初っぱなで度肝を抜きたかっただけだそうで、すぐに自主的に着替えに行ってしまいました。高垣さんいわく「私それしか考えてないんで」だとか。衣装で一発かましてくるスタイルは昨年同様で、楽しいポイントです。
  • 「兄命」とデカデカと書かれたTシャツに着替えた樹里は、俊治にも「妹命」のTシャツをプレゼント。旅行のおみやげを渡しつつ楽しく近況交換のおしゃべりを重ねます。妹が可愛くて仕方がない様子の俊治に、樹里も嬉しそうです。
    • 途中、デリバリーピザが届き、いそいそと受け取りに出た樹里ですが、宅配に出た若者は「ドアが開いた!?」と怯えてピザを叩きつけて出ていってしまいました。首をかしげる二人。そんな中、クローゼットの扉が不自然にばたばたと動き、謎の声も……。「おばけかな」と呟く俊治に、樹里は大きく怯えてしまいます。
      • 高垣さんの抱えたヒミツとも関わる一幕です。カーテンコールでの鈴村プロデューサーの発言いわく、【ネタバレ】高垣さんのヒミツは「ストーカーの被害に遭っている」だそうで、この演出によって高垣さんの思考を誘導しているのだとか。また、津田さんがアタッシェケースを隠し置くことに成功しています。また、一昨年に津田さんが演じた死怒の名前が出てきたりのサービスもありました。

第1のヒミツ

【ネタバレ】 この部屋にはふたり以外の誰かがいる

  • 再び鳴るチャイム。やってきたのは二人の父親(演:砂川禎一郎)でした。ダンボールを小脇に抱えてきた父は、中に入った丸鷄を楽しげに俊治に見せてくれます。そして、「樹里がいればやってもらうんだけどな」と言って鶏の調理のために退室してしまいます。
    • そして、戻ってきた父は、「マジックにハマっているんだ」と言い、ひとしきりマジックを見せびらかします。タネがありありの手品にも付き合ってあげる優しい兄妹。調子に乗ったらしく、父は「超能力で物を浮かせられるようになりたい」と野望を語ります。しかし、その態度はどこか不自然。樹里の存在をひたすらに無視しているようで……

第2のヒミツ

【ネタバレ】 樹里の姿は俊治以外には見えていない

  • 事態を察した樹里は、兄に「どうしよう」と不安を吐露します。どうしてこんなことになっているのか、全然わからないのです。
    • テレビでも観るか、と父がテレビの電源を入れると、長距離高速バスの事故のニュースが流れていました。被害の規模は不明だという情報に、二人は言い知れぬ不安を覚えてしまいます。
      • なお、ニュースのあとにもバラエティ番組の音声が延々流れ続けました。おそらくアドリブではなく事前収録。それなりの長さが用意されており、こちらはコメディ寄りの面白い文章でした。もしかしたらアドリブワードを使用して文章を作成したかもしれませんね。
    • 父の携帯電話へ着信。電話に出た父の表情が硬くなり……警察からの連絡だったと父は重苦しい表情で告げました。
      • 情報が完全に出揃ってくるあたりです。高垣さんのコントロールの力が大きい場面でもあります。カーテンコールで鈴村プロデューサーが熱く語っていたことのひとつに、【ネタバレ】「どうやら見えてない、って思った瞬間に彩陽ちゃんが父親に触れないようにしている」という点がありました。検証会ではどうしても【ネタバレ】「お父さん! お父さん!?」って必死にアピールしちゃう人が多かったんだけど、と、見に回った点を絶賛。
      • 都合の良い超能力かぶれ設定も含め、父親役を演じた砂川さんの技には凄まじいものがあります。彩-LIVEのミッションには明らかに「メインキャストへの間接的状況説明」が含まれていますが、ここで砂川さんが取り組んだのは「反応しないという反応」という逆説だからです。上述の高垣さんの察知能力の高さ、その一歩引いた振る舞いに救われた部分はあるかと思いますが、それを差し引いて考えたってとんでもないです。ちょっとでも真っ当な視線を送ったら(送り続けたら)、高垣さんと目が合ってしまい、それだけで誤解され、負けてしまいかねない危険な綱渡りです。とは言ったって、CGなどと違って体の通り抜けなどは不可能。相手の立ち位置は綺麗に避けつつ、かつ完全に見えてないそぶりを、しかもあの長時間、おまけに即興で貫くには途轍もない自制が必要なはずです。AD-LIVE 2017における砂川さんはインファイト型のコントロールを多く引き受けておられますが、その最高峰とも言えるすばらしい公演でした。

第3のヒミツ

【ネタバレ】 樹里は死んでいる

  • まだ状況は確定していない、という希望をなんとか抱く三人。そこへ再びチャイムが。こんな時に……と玄関に出ると、訪問者は「樹里さんの恋人です」と名乗りました。ですが、当の樹里は迷惑極まりないと言わんばかりに「恋人じゃなくて元カレ!」と言い張ります。
    • 部屋に入ってきた御前崎(演:渋木のぼる)は、ひたすらに「恋人です、愛しているから今カレです」と言い張り、部屋を物色。父と一緒になって止めようとする試みる俊治ですが、御前崎は止まりません。どんなに追い払ってもすぐにどこからか侵入してくる御前崎の異様さに、三人は怖気を覚え始めました……と、そんな時、御前崎は「樹里さんがいます」と言い始めます。いないよ、とビビる父に、「匂いがするから、この部屋にいます」と譲らず……その迫力に、父もまた本当に起きていることに気づき始めました。
      • 短時間で恐ろしい気持ち悪さを発揮する御前崎君。カーテンコールで明かされたこととして、【ネタバレ】最初の検証会時点ではストーカー設定はなかった、という情報があります。最初の検証会時点では彩-LIVEの誰がどの役を演じるかは不定で、とりあえず渋木さんに振ってみたところこの仕上がり。あまりの面白さに、じゃあストーカーってことで!となったとのこと。なお、この設定は高垣さんのヒミツに反映されているため、時系列的には、ヒミツを教えられるタイミング(ヒミツ動画撮影時)より前に最初の検証会が行われているようです。準備期間の長さが推し量れます。

第4のヒミツ

【ネタバレ】 俊治にだけ樹里が見えるのには理由がある

  • こいつストーカーだ!と気づいた俊治は、なんとか御前崎を説得しにかかります。
    • 樹里の日記まで持ち出しての説得にもめげない御前崎でしたが、やがて事実を認めざるを得なくなり、おとなしくなりました。
      • アドリブワード「フラれたの。」がクリーンヒット! また、日記がヒントとしてきっちり機能しており、メインキャストを助けております。この公演の他にも、AD-LIVE 2017には“紙に書かれた文章を読む”場面が何度か登場しており、声優の舞台であることの強みを見せつけてくれています。AD-LIVE 2016での浅沼さんのオーディオコメンタリーから、この配慮はおそらく意図的なものであると思われます。
    • 突如、鳴り響く男の声。一瞬の隙に現れた謎の男(演:辻本耕志)は、樹里に「お別れは済ませましたか」と語りかけます。

最後のヒミツ

【ネタバレ】 俊治には樹里に謝りたいことがある

  • ついに全員に姿を見せた謎の男*1は、俊治にも声をかけます。「樹里さんに伝えたいことがあるはずです」と。そして男は兄妹のために二人だけが邪魔されずに言葉を交わせる空間を作ってくれました。
    • 俊治は隠しておいたアタッシェケースを持ってきて、樹里の前に立ちました。子どもの頃の後悔の思い出。それをずっと引きずっていた俊治は、ケースから紙袋を取り出し、樹里へと渡します。
      • 【ネタバレ】アタッシェケースの中身が俊治の後悔、謝罪の結実になっています。カーテンコールで鈴村プロデューサーが「これは全部津田さんのオリジナルです」と明言。演出側から渡しているのは【ネタバレ】子どものころに妹のシュークリームを勝手に食べてしまったことを後悔しているというヒミツだけで、【ネタバレ】「それを引きずっていたためにパティシエになる」「そのせいで妹にやたらと甘い」などはすべて津田さん個人の造形とのこと。このアイテムは俊治の仕事という形で未来への指向性も併せ持っており、最終のオチとのシンクロも見事でした。
    • 謎の男に、父は「樹里に会わせてほしい」と頼みます。それを聞き入れた男のおかげで、樹里は父、御前崎とも言葉を交わします。そしてやってくるその時。残された三人のもとへ、宅急便が届きます。それは、樹里から兄へのプレゼントでした――
      • やってきた宅急便、ベル宅配便の男を演じたのは鈴村健一プロデューサーです。人材不足で自ら出ました、だそうで、カーテンコールでは着替えもせず、キャップを深くかぶって登場してくださいました。なお、客席の反応から「意外とバレてなかったんじゃない!?」と若干嬉しそうにしていたのが印象的でした。津田さんが「すぐ鈴くんだって気づいたんだけど、俺がドアの前に立って隠しちゃって。隠さなきゃ良かったね」とコメントしましたが、鈴村さんは「いやいや隠してくれていいんです! むしろあんなに良いシーンで、俺だってわかる形で入らないほうがいいから!」と固辞。確かに、最終盤での大きすぎるサプライズになってしまいますから、私個人としてもバレないに越したことないよなあ、と思いました。

結末の行動

【ネタバレ】 父・御前崎とシュークリームを食べる*2


できる限りネタバレに配慮して書いてはみたものの、展開自体が大きなネタバレを含みますね、この公演は。
本当は高垣さんのすばらしい感情線の描きかたについてもあれこれ触れたいんですが、もうそれ自体がネタバレ……辛い!

特にこの公演は二人の心の動きそのものがメインドラマになっており、高垣さん演じる樹里の混乱や悲しみ、それを受け止める津田さん演じる俊治の振る舞いが観どころだと思います。ただただ涙に暮れる展開になってはおらず、極端にネガティブな後味でないところも大好きです。

また今日のあとりぶでじっくり観たいと思います。

*1:姿を見せた瞬間、父と御前崎が声を揃えて「小っさ!!」と叫びます。ステッキをぱたんと取り落とす男の反応も含め、あまりに綺麗だったので、検証会の中で生まれて定例化したのかもしれないなあ、と思っています。

*2:ヒミツ動画での「誰?」とのコメントからの類推です。