AD-LIVE 2017 9/17(日) 夜公演 考察 豊永利行・森久保祥太郎(リピート用ログ)

AD-LIVE2017 9/17(日)夜公演の大きなネタバレを含むので、未見の方はこのまま閉じてくださいませ。

本エントリは、私のように「ライブビューイングも観て、あとりぶも観る」、しかも舞台の仕組みその他もできるだけ考えたい!という、奇特な方のために即興で(アドリブで)書きつけるものです。
当然のことながら、ネタバレしまくります。……が、クリティカルなものは反転伏字にしたいと思います。今年度は情報量が多く、いろいろと拾いきれていませんが、どうかご了承くださいませ。

出演者

Aキャスト:豊永利行
Bキャスト:森久保祥太郎
彩-LIVE :辻本耕志、渋木のぼる、猪狩敦子、廣瀬詩映莉、向山智成

2人の関係

アイドルグループのメンバー


ではしばし開けて……










どうぞよろしくお願いいたします。


  • 最初の紹介で表示された名前は、桜小路春行(演:豊永利行)と愛川翔平(演:森久保祥太郎)。桜小路はメッシュに革ジャンと、なかなかロックないでたちです。
    • ここは、芸能事務所「オフィス レオナルド」の事務所。レッスンを終えた愛川がソファに座り、タブレットとメモ帳を取り出します。なにやら歌詞を考えているようです。そこへ戻ってくる桜小路。その口調はなにやら英語かぶれしています。そんな桜小路に驚くこともなく、愛川は「事務所でぐらい普段通りでいいじゃない」と話しかけました。そこへ戻ってくるマネージャー(演:猪狩敦子)。マネージャーは愛川を見るなり、「事務所内だからってさぼらないでよ。ウィッグと口調、マイケルみたいにちゃんとして」と注意を投げます。わかってますよ、と苦い表情の愛川ことケビン。2人は外国人アイドルというキャラ設定なのでした。
      • 事務所内には木こりアイドル・ゆかりんこと星野ゆかのサイン入りポスターも貼ってありました。どうやら所属事務所が同じらしいです。……シングルタイトルめっちゃ知りたい。
    • マネージャーとともに明日の仕事の確認をした2人。マネージャーがかかってきた電話に応対している間、彼らは自分たち向けのアンケートの記入を進めます。
      • マネージャーの並べた仕事の中には、深夜番組『二宮マサキの やる気!元気!マサキ!』というタイトルが。これは過去のAD-LIVE公演、特に下野紘さんがご出演の回から引っ張られたネタとなっています。客席からも大きな反応があり、多数の公演を観ている方がいるとわかりました。

第1のヒミツ

【ネタバレ】 実は、来週発売のニューシングルの歌詞がまだ書けていない

  • アンケートを書いている最中、「こんなことしてる場合じゃない」と思い出した愛川。ニューシングルの歌詞がまだ出来ていないのです。
    • Aメロ、Bメロまでは出来ているのですが、サビはすっからかんだ、と説明しているところへ、突然の来客が。慌ててウィッグをつけるケビンでしたが、やってきたのはただのバイク便(演:向山智成)でした。それは事務所の社長からの届け物であり、そこには「新曲の件、くれぐれもよろしく。なんならメロディだって変えても構わない。『ミュージックスタート』と言えば曲が流れ、『ストップ』と言えば止まるようにしておいた」とありました。「この事務所にそんな機能が!?」と驚くマイケル。おそるおそる「ミュージックスタート」と声を上げてみると、突然音楽が鳴り出しました。マジかよ、と驚く2人。仮歌が入っている楽曲を聞き、振付や歌詞を考えていくことにしました。
      • この時点で既にちょっとおかしい脚本となっています。登場人物のセリフによって音楽が流れる、すなわち、舞台から音響監督にキューを出すというきわめて特殊な仕組みです。話の展開上は予測しやすいタイプのキューだとはいえ、音響さんもまったく気が抜けません。
      • なお、仮歌はのちに劇中でも触れられるように、事務所社長、つまり鈴村健一さんが歌っていました。おそらくここまでの歌詞も鈴村さんの作詞でしょう。歌い方もどうやら少し森久保さんに寄せている様子……。なお、宅録(自宅録音)だそうです。たしか、歌詞については【ネタバレ】「お前と出会ってから ありふれた日常が / 少しずつ変わったんだ グラデーションLOVE / お前といるだけで DOKIDOKIが止まらない / お前と一緒なら クマも倒せる / 心と心と心が通じ合う お前のためなら トラも倒す」とか、そんな感じでした(9月22日修正)。
  • 新曲制作に取り組んでいた2人のところへ、マネージャーが戻ってきます。ひどく慌てた様子で……
    • マネージャーが持っていたのは、とあるスクープ記事。ある店に隠れてやってきた人物の隠し撮りと、それを根拠にした彼らの解散報道の記事でした。今まさに新曲を作り、来週には発売しようという彼らなのに、なぜ今解散報道が? 写真の出どころを確かめようとするマネージャーに、まったく無根拠だと否定するケビン。【ネタバレ】しかし、マイケルがこの写真は自分だと認め、「俺は解散したいです」と爆弾発言をしてしまいます
      • 観ている時点ではほんのりしか感じませんが、実はここが本公演で裏側がもっともひっくり返った個所だそうです。【ネタバレ】豊永さんが「ヒミツ」を開示するタイミングが今での検証からの想定よりもきわめて早く、AD-LIVEスタッフ側がまったく想定していなかった流れに突入してしまったのだとか。結果、彩-LIVEの猪狩さんや辻本さんが強い辻褄合わせに走るはめになりました。特に、用意されていたセリフの大半が吹き飛んでしまったらしい辻本さんの苦労は並ならぬもののようです。

第2のヒミツ

【ネタバレ】 このグループは、まもなく解散報道が出てしまう

  • 凍り付く事務所に鳴り響く電話。それは事務所社長(声:鈴村健一)からのものでした。
    • 解散報道の真偽について問い、困るよ、と言い募る社長ですが、マイケルは口をつぐんだままです。どれだけ話しても埒があかず、ついに社長は体調不良を訴えて電話を一方的に切ってしまいました。
      • 今年の脚本の中では比較的珍しい、鈴村さんの長尺かつ台本なしのセリフ。舞台裏ではアドリブワードを引くこともできず(正確には引いたとしても観客側からわからず)、その点は少し惜しいような気がしてしまいます。
    • 社長とやり取りをしている間に、事務所の外には報道陣が詰めかけていました。彼らを何とか誤魔化さなくてはなりません。ケビンとマイケルは普段のウィッグと服装にアレンジを施し、本人たちとはバレないように報道陣を追い返すことにしました。外に出ると、スーツ姿のレポーター(演:渋木のぼる)が彼らにマイクを突き付けますが、怪しい老人風の変装をしたケビンが「『100年に1人の天才』*1は解散しないんじゃ!」と言い張り、無理矢理にその場をおさめます。部屋に戻ってぐったりと疲れたふうの2人。マネージャーも「嘘だって信じたい」とマイケルを見つめますが……

第3のヒミツ

【ネタバレ】 グループメンバーはもう一人いる

  • そこへ事務所に戻ってくる、「100天」のもう一人のメンバー、ブライアン(演:辻本耕志)。
    • なんとか報道陣をかいくぐって戻ったというブライアンは、解散報道のことを知っていました。この記事は僕らメンバーから出たものだ、というブライアン。その行為をしたと思われるのは、もはや1人しかいません。と、そこへ突然クローゼットが開き、赤い法被を着た女性(演:廣瀬詩映莉)が現れました。彼女は「100天」の追っかけ、マコ。スプーンで壁を掘り抜き、事務所に侵入したのです!
      • 第3のヒミツが表示された直後、思い切り頭を抱えるマイケル……いえ、豊永さん。【ネタバレ】ここでの追加メンバーという展開は完全に予想外だったようです。いっぽう森久保さんはそんなこともなさそうな雰囲気を保っており、さすがだなあと思います。もしかしたら、【ネタバレ】「出演するはずの辻本さんがまだ出ていない」ということから予測していたのかもしれません。
    • レス*2をねだったり、歌をねだったりと、傍若無人なマコですが、「100天」への想いは本物でした。彼女の【ネタバレ】ぶっちゃけみんなが日本人だって7割の人が知ってます、という発言に唖然とするマイケルたち。マイケルの悩み、苦悩は、もはや意味のないものになっていたのかも……
    • さんざんサービスを受けたマコが帰って行ったあと、残されたケビン、マイケル、ブライアンは、お互いの想いを交換し合います。マイケルは「一緒にやるのは楽しかった」と認め、彼らの気持ちはひとつになりました。

第4のヒミツ

【ネタバレ】 そろそろ歌詞を書かないとヤバイ*3

  • グループの絆が修復されたのなら、急務は来週発売の楽曲の歌詞です。新曲の発表は、「解散しない」という何よりの証明になるはず。今こそ新曲は必要でした。
    • そうだ! 重要なのは歌の歌詞だ! ケビンとマイケルは大慌てで新曲の歌詞づくりに取り組みます。表の報道陣はブライアンが食い止めてくれる、今のうちに、さあ、作詞だ!!
      • 「第4のヒミツ」が表示された瞬間の、舞台・観客席一丸となっての「そうでした! 完全に忘れてました!!」という感覚がたまりませんでした。
    • 何度も曲を聴き、譜割り*4を確認し、浮かぶはしから言葉を当てはめては検討していく2人。思った以上に長いサビを必死になって埋めていきます。
      • このあたりから森久保さんと豊永さんは完全に素に近くなっています。公開されたヒミツ動画では、森久保さんが「とっしーは『役者の力量が試されるやつ』って言ったけど、俺は役者じゃないところの力量が試されてる気がする、役者じゃないところの引き出しを開けなきゃいけない気がする」と発言しており、これが読み通り、あまりに完璧でした。森久保さんの鈴村さんに対する理解度が凄いとも言えます。

最後のヒミツ

【ネタバレ】 今作っている曲は、桜小路春行(マイケル)のために作った曲だ

  • 作詞も佳境に入り、決めのフレーズに迷った時、ケビンが「実は」と打ち明けます。マイケルの元気がないことを知っていたケビンは、社長とも相談し、この曲をマイケルのための曲でもあるように作っていたというのです。
    • 作詞もラストスパート。マネージャーによる「いっそ新曲を報道陣の前で歌えばいい、何よりもそれこそがいちばん説得力があるから」という無茶ぶりに、もはや逃れられないことを悟るケビンとマイケル。そして、戻ってきたブライアンからの「サビから歌う? 頭から歌う?」という問いに、マイケルは「頭から歌うしかないでしょう!」と応じます。
      • 観客席の期待に応えた一幕。カーテンコールで鈴村プロデューサーが総評として「2人とも本当に役者で、とにかく細い道、細い道へと行く」と発言しています。「演出部としては、アドリブワードを引いてただ当てはめていけば、とりあえず完成まではすぐいける、というつもりで作っているのに、この2人はクオリティを求めて吟味し始めちゃう。結果、もっと手前にもっと良いワードがあったのに、それを捨てちゃって。その結果とんでもないワードになっちゃったりして、俺たちはもう『早くして!』って気が気じゃなかった」「祥ちゃんがいるからその場で作曲できるようにギターも置いといたし、『今ある曲も変えていい』って手紙に書いといた(のに捨てない)」。豊永さんが苦笑いとともにそれを認めると、「俺も気持ちはすごくわかる。苦しい道を行くと面白くなると思っちゃうんだよね」と解説していました。
    • 再び報道陣の前へ出た2人――今度は奇抜な変装もなく、そして設定である変装さえも取り払い、素の格好となった2人は、自分たちのことを打ち明け、解散はしない、と語ります。
      • ここでの森久保さんの芝居、【ネタバレ】「続きは、桜小路から」という言葉に胸が震えました。
      • レポーターの渋木さんがマイクスポンジをポンポコ吹っ飛ばす芝居が大好きです。カーテンコールで「最初の登場時には偶然、事故で吹っ飛ばしてしまった」と明言されましたが、当然、この再登場した際は意図的。胸ポケットにマイクスポンジ(色違い)を山ほど詰め込んで登場し、スポンジを飛ばしては付け直し、付け直しては飛ばし……という繰り返しギャグにしてしまいました。物語上はまったく何の意味もないため、単に面白いからやっているだけとしか思えず、その挙動に飛び込んでいける渋木さんに惚れます。
    • 解散はしないことの証に、と、ケビン、いや、愛川翔平は、できたてほやほやの新曲をここで歌う、と告げます。そして、ミュージックスタート!

結末の行動

【ネタバレ】 一曲作って、歌う*5

  • カーテンコール、登場した森久保さんと豊永さんは鈴村プロデューサーへ妙に詰め寄っていきます。握手もやたらと力が入っている様子。何をおっしゃりたいかは重々……と言わんばかりに、肩を縮めて粛々とする鈴村プロデューサー。
    • 「終わった後の俺たちの気持ちわかる!?」と言う森久保さん*6、「ほんと、いろいろ気持ちは渦巻いたんですけど、終演直後は森久保さんと顔を見合わせて『……ハハッ』って笑うしかなかった」と言う豊永さんに、鈴村プロデューサーは恐縮しきり。ヒミツ動画でも森久保さんは「とりあえずこの後一回鈴村君に電話すると思う。遊び過ぎだ俺たちで!」と発言しておりまして、終わってみればさもありなん、まさにそういう感じの流れでした。
    • しかし、鈴村プロデューサーからも「本当に無茶ぶりじゃないんですよ! いや無茶ぶりですけど」と釈明が入りました。結末の行動がそもそも【ネタバレ】「一曲作って、歌う」だったので、つまり祥ちゃんもとっしーも、そのつもりでここに立っているはずなんです」と*7。しかし、実際の曲を森久保さんに聴かせたのは本当に直前だったそうで……。「そもそもとっしーはこの曲知ってた?」と問う森久保さんに、豊永さんも事情説明。「開演直前に鈴村さんが来て、『とっしー、何も聞かずにこの曲を聴いて』って渡されたのを2回ぐらい聴いて、それだけです」だそうです。ありえませんね。

……というわけでした。起こっていることに注目すると意外と少ないものの、内容は超アツい、というか奇妙奇天烈を極めた公演でした。こんな展開、完全即興の劇でなければ絶対に成立しません。ある意味ではAD-LIVEらしい、AD-LIVEでしかできないことを突き詰めた脚本でもあり、それを成し遂げたお2人を何度でも大絶賛したいです。早くあとりぶが観たいです! 

*1:アドリブワードで名称が決定することはよくありますが、あとあとまで引っ張る例は今年は希少。なお、森久保さんはこの経緯をすっかり聞き落としており、実は最後までグループ名を把握していなかったことがカーテンコールで明かされました。

*2:アイドル界隈には、うちわに「○○して」などの文言を書いてアイドルに見せ、望みのアクションをもらう、というコミュニケーション方法があり、この応答を「レス」と言います。

*3:カーテンコールで明かされた衝撃の事実、「直前で書き換えた」というヒミツがここ。映像になっている「ヒミツ」も随時書き換え可能、ということで、これはこう、私的には考察がはかどります。表示される文字には思いっきりエフェクトがかかっているのですが、よっぽどレンダリングが軽いか、そもそもPowerPointを投影しているだけか……なんにせよ今回の仕組みでは備えていなければならない柔軟性であり、素晴らしいと絶賛したいです。なお、推測に推測を重ねてではありますが、ここに入っていた当初のヒミツは【ネタバレ】「マイケルは写真を撮られたことを知っていた」など、マイケルと記事の関係にかかわる内容だったのではないでしょうか。

*4:メロディに対して言葉をどのように割り当てるかを指して「譜割り」と言います。通常1音に1音節ですが、言葉やメロディによっては、旋律に対して文字を多めに割り当てたりなどで歌詞を優先する場合もあり、作詞者としては工夫のしどころです。

*5:完成したサビの歌詞は【ネタバレ】「トラ・クマ・トラ だから クマ・トラ・クマ 不思議ちゃん / トラ・クマ・トラ ここへ ちゃ~ん エ・ク・レア / ヒノキの風呂 だから ヒノキのオケ 不思議ちゃん / ヒノキの風呂 今すぐ /飛び込んでこう(飛び込んでこう)飛び込んでいこう / マジでやべぇぇえ!! マジでやべぇぇえ!!」みたいな感じでした(9月22日修正)。

*6:鈴村さんが小さく「わかりますよ…」と漏らしており、もしかしたらこの脚本でリハをしたのかもしれません。

*7:さらに追加情報として、今回のAD-LIVEは当て書きである、という事情もあります。森久保さんと豊永さんならではのネタであり、2人への厚い信頼あってこその無茶ぶりなんです、きっと。