AD-LIVE 2017 9/9(土) 昼公演 考察 鈴村健一・てらそままさき(リピート用ログ)

AD-LIVE2017 9/9(土) 昼公演の大きなネタバレを含むので、未見の方はこのまま閉じてくださいませ。

本エントリは、私のように「ライブビューイングも観て、あとりぶも観る」、しかも舞台の仕組みその他もできるだけ考えたい!という、奇特な方のために即興で(アドリブで)書きつけるものです。
当然のことながら、ネタバレしまくります。……が、クリティカルなものは反転伏字にしたいと思います。今年度は情報量が多く、いろいろと拾いきれていませんが、どうかご了承くださいませ。

出演者

Aキャスト:鈴村健一
Bキャスト:てらそままさき
彩-LIVE :辻本耕志、渋木のぼる、猪狩敦子、廣瀬詩映莉

2人の関係

昔のライバル*1

となっています。ではしばし開けて……








どうぞよろしくお願いいたします。

初演のまとめでもあるので、舞台の作りにもていねいに触れていきたいと思います。

  • セットはあるマンションの一室のような空間。壁の作りは上手にドア2枚、正面壁上手側にベランダ、やや下手寄りにドア1枚とクローゼット、下手にドア1枚。
    • ベランダ奥は高層階からの見晴らしが実景になっており、状況によって天気や時刻が変わるつくり。
  • 壁の上奥はスクリーンになっており、差し込まれる「第○のヒミツ」ほか、冒頭のト書きやクレジットもこちらで流れる。
  • 冒頭は、定位置についた2名にスポットライトが当たるところから。上部スクリーンでキャラクター名と2人の関係、冒頭のシチュエーションの解説をしてくれます。
    • 登場人物は、赤星拳(演:鈴村健一)、ザン(演:てらそままさき)。赤星がザンに呼び出され、マンションに訪問したところから。「さあ、物語の幕開けです。」という定型句が表示されると暗転し、2人は初期位置へ。
  • 当シナリオでは、冒頭はザンが一人室内にいるところからスタートです。
    • 茶人っぽい作務衣で登場のてらそまさんが、落ち着かない様子で室内をうろうろ。と、そこにチャイムが鳴ります。のっそりと近づいたザンが関西弁*2で応答すると、ていねいな物腰の拳がお土産を持ってやってきました。水色の風呂敷に包んだフルーツの盛り合わせを、嬉しそうに受け取るザン。
      • お土産は鈴村さんの判断での持ち込みかもしれません。
    • 気安いような、緊張しているような拳に、ザンがお茶を出そうとしているところに、再びチャイムが。スーツ姿で顔面に傷のある男(演:辻本耕志)が「ザン様」と訪ねてきます。部屋に入ってきた男は、拳を見るや驚き、「ザン様、こいつ呼んだんですか」と苦い表情。たいそう居心地が悪い拳を尻目に、彼はガブリスと名乗り、「頼まれたものを持ってきた」とビデオテープを取り出しました。このビデオテープに収録されていたのは……
      • てらそまさんの抹茶トラブルが完全に脈絡がなく、超面白いです。カーテンコール曰く、「開ければぶわっとなるのは分かってた。分かってて狙ってやったんだけど、予想よりもっとすごかった」とのこと。フォローに駆け回った辻本さん、お疲れさまです。

第1のヒミツ

【ネタバレ】 20年前、拳はザン率いる悪の組織を滅ぼした

  • 第1のヒミツを見せたところで暗転、オープニング映像。
    • ここで尺を取るのがとても効率的なつくりですよね。暗転中はA・B両キャストにとってはシンキングタイムという側面もあると思うので、第1のヒミツ(大筋に対する"予感")を受け止めるために費やせる時間があるのはとても親切なカンジ。
      • おそらく、ここで忙しかったのは鈴村さんでしょう。この隙に見事に赤星拳を再建しており、この暗転を境に緊張感のレベルが少し上がっているようでした。アンコールでぜひ確認したいところです。
  • ザンの部下であるガブリスは、拳に対して恨みが募っている様子。
    • クローゼットからあれこれと仲間の怪人の形見を取り出しては、「お前、こいつのことを忘れちゃいないだろうな!」とクイズで喧嘩を売っていきます。
      • 「伊豆で戦ったやつ」など、むやみに地名を織り込んでいく鈴村さんと、さみしくなったのか「そいつはな!」と割って入って「ザン様知ってるでしょ!?」と止められるてらそまさんがチャーミングな下りです。クイズはアドリブワードを使いやすい展開のひとつで、AD-LIVE2015でも使用されております。
  • ひとしきりやりとりした後、ガブリスはザンを連れて奥の部屋へ引っ込みます。すると、そこはどんでん返し*3となっており、裏では豪奢な椅子に腰かけたザンと脇に控えるガブリス、そして、桃色の服を着た女性・モモコ(演:猪狩敦子)が。
    • どうしても拳を受け入れられない、と反発するガブリスに、女性が食ってかかり、「絶対拳を引き入れるべき!」と強く主張します。「ザン様もそう思うでしょ!?」と訴える女性に、同意するザン。不満げなガブリスをなだめつつ、「俺が話してくる」と宣言したザンは、「お前らもちゃんと支えてくれよ」とサポートを求めました。
      • 猪狩さんと辻本さんが2人がかりでてらそまさんに展開を伝えるくだりです。説明的になりすぎず、けれど明快に整理されたセリフがぽんぽん飛び出し、観る側としても集中してしまう個所。
      • てらそまさんのチャーミングが顔を出す、超可愛い場面。このあたりでザン様のキャラクターが固まります。ところで、メインの部屋側はライトが落とされており、鈴村さんは薄暗闇の中で淡々と「待っている」芝居を続けていました。テーブルの上の雑誌をめくったり、伸びをしてみたり。時間の尺的には歩き回れるぐらいの尺はあったと思いますが、その場を動かず「自分では展開しない」形に徹しています。

第2のヒミツ

【ネタバレ】 ザンは拳を組織に勧誘しようとしている

  • ここでメインの部屋に明かりが。ザンが不在の部屋に、突如鳴り響く謎の音楽。ドアを開けて入ってきたのは、白いビニールスーツにバイザーグラスの細身の男(演:渋木のぼる)。音楽に合わせて体を揺らし、締めにはキメポーズ! これが現代のヒーロー、G-Nex。
    • いきなりやってきたG-Nexは、悪の反応がある、と言い、拳に絡み始めます。悪と間違われた拳は憤慨し、持ってきた荷物から20年前の正装を取り出し、先輩アピール……が、「ダッサ」と切り捨てられ怒り心頭。あれこれと先輩アピールをするもののすべて不発。結果的に悪の反応が捉えられなかったG-Nexはとっとと撤収していきました。
      • どこで怪人退治してたんだ、と問われ「伊豆」と即答する鈴村さん。特撮オタクの面目躍如の一幕で、特撮の地方ロケは温泉地が多い、という蘊蓄になっています。地方ロケが楽なところには怪人が出現しやすいのです。
      • 傷を見せる拳に対して「小っさ」とめちゃくちゃ小さい声でコメントする渋木さんの芝居がツボでした。個人的に、アニメではなかなか出てこないタイプの抑揚と早口を持つ芝居は大好物で、G-Nexが喋るたびに大喜びしていました。『四畳半神話大系』五話の会長(演:諏訪雅)などもたまりません。
  • G-Nexの撤収後、戻ってきたザン、ガブリス、モモコ。なんとモモコは拳のかつての仲間でした。拳とモモコは再会を喜び、近況を交換します。
    • 拳は現在豆腐屋で働くフリーター。ブルー、イエロー、グリーンはそれぞれに人生を歩んでいるらしいのに、拳はパッとしない人生を送っているようです。
      • 「豆腐屋」は即答でした。ヒミツ動画内でも提示されていた「キャラ設定」で既に決まっていた情報なのかもしれません。アドリブワードに任せないことによってテンポが上がり、ディテールがアップしているところがたいへん良いくだりでした。
  • しかし拳は、モモコがここにいる不自然さに気づき、問い詰めます。もう黙っているわけにはいかないと、ザンもついに率直に拳を勧誘。必要悪の存在を訴えられ、うろたえた拳はモモコに「お前、参加したのか」と問うと……モモコは「参加しました」と肯定します。
  • そこへまたやってくるG-Nex。相変わらずの登場音楽と決めポーズです。
    • 今度こそザンやガブリスという「悪」を見つけたG-Nexですが、そこへ緊急の通信で「子供が危険な目に遭っている」と呼び出されます。が、G-Nexはこれを「小さい」と無視。拳がその振る舞いに激怒し、つかみかかります。正論のようなこざかしい理屈を振りかざしたG-Nexは、捨て台詞を残して去ります。
      • 拳と現代ヒーローを敵対させる目的のくだり。ここに限らず、赤星拳は怒りの感情を表に出していくキャラクターで、鈴村さんのアドリブ力の冴えを感じられます。

第3のヒミツ

【ネタバレ】 ザンはモモコと付き合っている *4

  • そこへまたも、現代の正義のヒーローが乱入! このたびやってきたのは赤い軍服に身を包んだスカーレット京子(演:廣瀬詩映莉)。「この世に悪はいないに限る」と言い放つ長官です。
    • G-Nexと連絡が取れないため、悪の反応を追ってやってきたスカーレットは、彼女の濃いキャラに本気でビビり倒すザンにセンサーをつきつけ、ザンを「悪」と断じます。即座にザンを始末しようとするスカーレットをとりあえず止める拳。「正義なら悪を倒すものでしょう?」と拳を問い詰めるスカーレットに拳は「正義ってのはそういうことじゃない」と反発します。
      • ヒーロー像のブレによる対立は、特撮作品でも何度も問われている、たいへんアツいモチーフです。
    • 話にならない、とばかりにスカーレット京子は高笑いとともにベランダから去っていきました。

第4のヒミツ

【ネタバレ】 もうなんなら、あの女が倒すべき敵である*5

  • 一度は去ったスカーレット京子。現代のヒーローに反抗してしまった拳へ、ザンが、モモコが、そして拳を見直したというガブリスが組織への誘いをかけます。
    • ザンがモモコとの関係を打ち明け、拳が大いに驚いたりも。
      • 【ネタバレ】「子供もいる」発言はてらそまさんのアレンジでしょう。ぐいぐい行く!
    • 心が揺れる拳へ、ガブリスとモモコはもうひと押し、とばかりに悪の組織スーツを持ち出し、ザンと拳へ押し付けました。
      • 舞台上で鈴村さんが「これ何の時間?」と口走る、珠玉の一幕、お着換えタイム。寸法合わせや着付けの仕方がうまくできていないところもAD-LIVEならでは。
    • 悪人風のスーツを着せられた拳は、モモコに感想を求められ……「誤解を恐れず言うと……少し楽しくなってきました」と神妙なコメント。
      • 拳のヒミツへの伏線になっています。
  • そこへ、G-nexとスカーレット京子が襲来。登場音楽がごっちゃになりながらもそれぞれにポーズを決めました。
    • 苛立ちをあらわにしたG-Nexは「こいつら傷めつけないと俺の気が済まない」と、モモコ、ガブリスを立て続けにぶちのめします。
      • 今までのAD-LIVEでは極めて取り入れにくかったアクションシーン! 舞台の端から端まで使っており、最高でした。
  • ほとんど暴走状態に陥っていたG-Nexを、スカーレット京子が撃ちぬきます。
    • G-Nexすら「悪」と見なしたスカーレット京子は、「悪の根絶に少々の犠牲はつきもの」と言ってのけ、ザンに銃を向けます。辞世の句でも残せばいい、と余裕を見せて。
      • マジで押し倒すてらそまさん、本気で止めに行く羽目になった鈴村さんもですが、なんといっても余裕を見せてしまったせいでとんでもないことになったスカーレット京子がかわいいです。押し倒された時の「厳しい! 厳しい!!」というコメントが大好き。カーテンコールでの廣瀬さん曰く、「湿ってたもので」。それを聞いて膝を折って笑う鈴村さん以下彩-LIVEの面々でした。鈴村「分かる。てらそまさんは時々すごく接近してくるんだけど、俺でさえこのへん(顔面すれすれ)で見ると『湿ってるぅ~』って思うもん。湿気くる」 廣瀬「もう潤っちゃって潤っちゃって」 ……廣瀬さんの言葉の選び方が大好きです。
  • 怒りにまみれ、去っていったスカーレット。倒れ伏したモモコが、ガブリスが、拳へ、ザンへ「気持ちを伝えて」と促します。
    • 拳は、【ネタバレ】かつての自分が抱いていた悪へのかすかな憧れを。ザンは、【ネタバレ】悪の組織の在り方への疑問、その疑問のせいで自ら敗北を選び取り、組織を壊滅させたことを打ち明け、「お互いに似ているのだ」という理解に達します。
      • このあたり、ほとんど教科書のような出来だと思います。とてもテクニカル。赤星拳にとっては「悪という在り方に秘められた正義」を、ザンにとっては「正義を名乗るものに潜む悪」を見せつけられる展開で、つまり「悪」「正義」という"ワード"から抜け出し、その"意味、心"へと到達する流れでもあります。ということはもしかすると、この展開自体がAD-LIVEそのものの写像として作り込まれているのかもしれないのです。パないな!
  • スカーレットからの最後通牒。必要な犠牲として、ミサイルでこの街ごとすべて破壊する、というスカーレットの言葉が無慈悲にたたきつけられます。

最後のヒミツ

【ネタバレ】 スカーレット京子には弱点がある

  • 正義を名乗る巨悪の登場に、ついにザンと拳は結託し、スカーレットを倒そうと決意します。
    • と、そこで唐突に起き上がるG-Nex。すっかり低姿勢へと鞍替えし、バイザーグラスも外してしまったG-Nexは、「スカーレット京子はサイボーグで、生体部分の反応が止まれば、ミサイルも発射されないはず。確かスカーレットには弱点があったんスよ」と必死に思い出そうと首をひねります。一方、死の恐怖にやけっぱちを起こしたモモコは、ザンに「愛してるって言ってよ!」とワガママを叫びます。それにザンが応えると、スカーレットの苦し気なうめき声が!
      • 超クライマックスで、まさかの「【ネタバレ】甘い声」要求。当然アドリブワードの引き合いになりますが、それなりにいい言葉ばかり引くてらそまさんに対して、とんちんかんな言葉ばかり引き当てる鈴村さんがさすがでした。
      • モモコ役の猪狩さん曰く、「(ここではどうしても言葉での「愛してる」が必要だったので)てらそまさんが抱きしめようとしてくるのを『そうじゃない』って両手でガードしてました」だそうです。
      • 【余談】もしも、スカーレットが要求した「辞世の句」で近しい言葉が出ていれば、廣瀬さんは弱点への反応を先出しして、伏線にしていたと思います。
    • 弱ったスカーレット京子へと、拳とザンは最後の必殺技を放ちます!

結末の行動

【ネタバレ】 コズミックエクストリーム



……以上、全体まとめでした。……長すぎない?
書いてみて思いましたが、今までに比べて、"演出上の意味"が明解な展開が細かくたくさん入っているので、こうやってログ的に書いていくと大変なことになってしまうのかもしれません。
徐々によい落としどころを探していけたらと思います。

*1:ヒミツ動画では「過去のライバル」でしたが、ここでは公演に合わせます。

*2:仮面ライダー電王』ファン的においしすぎるキャラづくりでした。

*3:ここでは、驚きの展開のことではなく、舞台装置のひとつとして、壁が180度転回する仕組みを言っています。個人的には忍者屋敷でよく使われているイメージです。

*4:入る位置怪しいな……と思っています

*5:「もうなんなら」の威力が凄まじい。これを目にした鈴村さん、暗転内で腹を折って笑っておりました。……見えてましたよ!