社会の中で、能力は武器と防具になる

syakkin-dama.hatenablog.com

を読んで、思ったことを書く。

総合的な能力のバランスという面で僕は同期の中で圧倒的に劣っていたと思います。端的に言えば、能力のムラがあり過ぎました。

僕が注目したのはここである。能力のムラ。

能力のムラがなぜ悪いのか? そのことに対して、今のところ僕はある表現でいうことにしている。その言い方はひょっとすると誰かの知見になるかもしれない。

それがタイトルの「能力は武器と防具になる」である。

高等専門学校に通い、脱落した自分

唐突に自分語りになってしまうけれども、僕はかつて、とある工業高専に通っていた。工業高専というのは、専門知識を効率よく、どころか、妥当に学ぶための最適化をかなり極めており、まっとうに授業を受け、研究をすれば、ひとかど程度のエンジニアにはまあなれるだろうさ、みたいな教育機関である。
齢は15、義務教育修了直後の彼ら時々彼女らは、専門知識に関しては特に横並びでスタートを切り、ほどほどに順位をばらけさせながら5年間を過ごす。

僕の通っていた高専の場合は*1高校4年生になった時点で研究室に所属し、研究を始める。ここが分化の始まりである。クラスで隣の席のやつがやっている"学び"は、自分にはわからない専門知識になっていく。逆に言えばそれまでは、「俺とあいつは同じことを知っている(はずだ)」でやっていける。そういえば、MSNメッセンジャー経由でテスト勉強をしていた。あれ楽しかったわ。

僕は、卒業後の進路として専攻科という追加2年コースを選び、就職していった同級生たちと別れ、専攻科課程の途中で見事に脱落した。エンジニアになる自分をあまりうまく思い描けなかった、というより、半年の企業インターンを経て、開発職に向いていないことをはっきり悟ってしまったのだった。この道の先に自分が就きたい職はない、という思いのために、学業に身が入らなくなった。

同時に、自分が研究室で磨こうとした"独自の、クラスメイトと違う専門性"についても、行き詰まりを感じていた。あがいてあがいて生み出したつもりの成果は、ゼミ仲間の質問でたやすくずたぼろにされた。若造なりに心が折れていたらしく、半不登校に至っていた。

そんな折、別のジャンルの職業に強く心惹かれたこともあり、退学の選択肢が浮上した。ここであれこれ大人の知見を得るための相談を重ね、どうやら退学でいい、と見なした。退学の挨拶に、教授の研究室に出向くと、あたたかく迎えてくれ、「今まで学んだ知識を、違う業界で武器にして頑張って」と激励してくれた。

教授の言葉を実感した

訓辞をありがたく受け、退学をきめた僕は、少しのニート期間を経て上京し、エンジニアとは似ても似つかぬ職に就いた。そして、かなり多くの場面で「高専の知識」が猛威をふるうのを目の当たりにした。高専時代はクラスメイト全員が持っていた、当たり前のように所有していた知識が、新しくやってきたここでは、ほとんどの人が持っていない知識だった。ゲーム風に言えば、フィールドを変えたらレア度が上がったのだ。

「知識が武器になるってこういうことか!」と、喜びよりは驚きが勝った。5年強かけて身につけた知識は意外と身についていて、僕の前に現れるいくつかの問題を、他の仲間ではできない方法で撃破した。

その一方で、新参者、イレギュラーなルートを辿った者として、「常識知らず」と言われることもあった。みんなが知っているはずのことを知らないのだ。そこを突かれると痛い、と思った。そして、その弱点を突かれ、排斥された現場もあった。防御力が足りていなかったのだ。

自分だけの武器、みんなと同じ防具

ここにいたって、僕は自分のスキルを「攻撃」と「防御」に整理した。
自分だけが持っているものは「武器」、攻撃力。
みんなと同じく持っているものは「防具」、防御力なんだと。

自分だけの武器がなければ、他の人に取って代わられてしまう。
みんなと同じ防具がなければ、最低限のことができずに見咎められ、外されてしまう。

どっちもあるに越したことはないのだ。向き不向きはあるにしても。

己のステータスをどう特化させるか、どう丸めるか、それ自体も自分づくりであるし、フィールドを変えることによって、武器と防具を入れ替える手もあるだろう。

自分が持っているスキル、知識のどれが「武器」で、どれが「防具」か?
それは、場所を変えたら入れ替わったりしないか?
武器がないと悩んでいるなら、フィールド替えも考えてみていい。

チームの中での自分の役割を考えるときもある。
自分だけの武器でアタッカーを務める。
みんなと同じ基礎技術でディフェンダーを、時にゴールキーパーを務める。
強力な防御担当はチームを助ける。
特化型のアタッカーが輝く場面がある。そんなイメージ。

例えば専門学校で学ぶ、ということは、その分野においては日本で1%以内に入る、ということだ(どんな専門学校でも、全体の比率からすれば100人に1人程度にもいないだろう、たぶん)。クラスメイトの中では落ちこぼれでも、日本全域で見ればレアスキルだと信じていいはずだ。

そんな世界観で、日々を歩く

とまあ、つらつら思っていることを書いたけれども、こんなこと、常日頃から撒き散らしていたら説教くさくていけない。何より、僕は僕として、日々の仕事の中で他者を超える武器をかざさなければならないのだ。防具の隙を見つけたらこっそり埋めながら、僕だけの武器を磨き続けていく。

ところで、武器のメンテナンスは自分で行うしかないが、防具のメンテナンスは仕事仲間に頼ってもいいと僕は思っている。なぜなら防具に相当するスキルは、仕事仲間同士、横一線であることに意味があるからだ。基礎的なスキルを高いレベルで保有する集団は、それだけで売り物になるわけだし。

他人と共有できるスキルは防具に相当してしまいやすい、という話でもあるかもしれない。



自分の武器、自分の防具。いれかえ可能なそれを手の内に、これからもやっていきます。

*1:どこの高専も大抵そうだと思うけど