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AD-LIVE 2016 9/11(日) 夜公演 考察 森久保祥太郎・小野賢章(リピート用のフラッシュメモ)

前記事と同様に、AD-LIVE2016 9/11(日) 夜公演の膨大なネタバレを含むので、未見の方は即座に閉じてください。

これは、私のように「ライブビューイングも観て、あとりぶも観る」、しかも役者の脳内にも迫ってみたいZE、というけっこう奇特な方のために即興で(アドリブで)書きつけるものです。のちにDVD発売に向けて追記するかも。
想定より記憶違いが多いので、そのあたりは割り引いてください申し訳ないです。

ではしばし開けて……






















行くわよー。

  • 森久保祥太郎さんの設定で開幕。
    • 開幕の質問で「私とあなたは、知り合いですか?」という爆弾を投げ込む森久保さん。会場がざわつく。
      • ここでざわつくところが実はけっこう凄いと思うんですが。昼公演を観ていた方が多数いた、ということなんでしょうか。
    • 以降も森久保さんは、ていねいに言葉を選びつつ、もろもろの確認を重ねていきます。「小野賢章さんに設定を伝える」ことよりも、「ダイブインした人が対象の記憶を確認する」ことに力点が置かれた話運び。過去公演ではかなり鳴らされていたシステムの警告もていねいに回避しています。状況に対する適応力の高さというか、専門家っぽい振る舞いを感じさせますね。見事!
    • 突如、ダイブイン中にも関わらず頭痛を起こし、薬を飲み始める森久保さん。会場にまた別のざわめきが起こります。
      • このあたりで、勘のいいファンの方が気づいていたのかと思います。
    • 最後の質問では、突然に「地球に隕石が落ちる」話が始まります。完璧に混乱する小野さんをしり目に、会場は大盛り上がりです。もちろん正解は「ポジティブギブアップ」! なんと、昼公演の小野さんの設定に続き、森久保さんもまた、過去公演の設定を引っ張ってきました!
      • この時点で、2年前の公演を観ている人には森久保さんの正体が分かっています。一方、小野賢章さんは「ポジティブギブアップ」を素で知らなかった様子。昼公演の森久保さんは小川奏太を知っていましたが、夜公演の小野賢章さんは杉山を知らなかったわけです。カーテンコール曰く、鈴村さんは「これは辛い戦いになるぞ、小野賢章!」と思っていたとか。……ですよね。
  • 幕が開き、初対面(本当に初対面)の二人が出会います。相変わらず頭痛がひどい森久保さんですが、助け起こしに来た小野さんに、なぜか妙に詰め寄っていきます。もちろん伏線でした。
    • ここでは「関係性の二重化」が利用されています。どんな作品でも見られるものかと思いますが、この公演では片方が記憶喪失であることが確定しているので、「実は」を的確に仕込むと、それだけでも謎を軸に物語をけん引することができます。特に森久保さんの役柄は「多くのことを完全に知っている」キャラクターで、公開情報のコントロールを緻密に行っていました。
      • この公演の肝は、森久保さんによる情報量のコントロールです。カーテンコールで鈴村さんと森久保さんが口をそろえて「めちゃくちゃ順調、超順調」とうなずいていた通り、観客席から見ていても感心するほど順調に進行します。謎が謎のままきちんと保たれており、続きが気になり続ける流れでした。
    • ここで森久保さんは「固有名詞を教えられない」という制約を逆手に取り、お互いのあだ名をワードによって決めに行きました。結果、森久保さんは「入浴剤」、小野さんは「爪楊枝」に決定。
      • 恐らく、森久保さんとしては自分の名前を伏せて進めたかったのでしょうね。今回の観客の皆さんが前回の公演を知っているとは限りませんから、初見の人にも楽しんでみられるような成立のさせ方を目指していたのかと思います。
      • 余談ですが、今回のアドリブワードには「アイテム名」と「形容詞」がとても多いです。入浴剤やら爪楊枝の基礎になっているクエスチョンはおそらく「01.売上に悩む八百屋さんがコラボした意外なものとは?」でしょう。
  • バス停から移動。最初の思い出の場面……裁判所へ。
    • 森久保さんの誘導というか、説明の仕方が実に巧み。慎重に固有名詞を避けつつ、状況を整理しています。話し方自体はとても整理されているのに、情報に空欄が多いので、なかなか全体像が見えてきません。それでも、彼自身は精神科医であること、爪楊枝くんの家庭環境が複雑だったこと、父親のもとに身を寄せたこと、それが金銭による強引なものであったことぐらいは分かりました。
    • ここで改めて、「こんなことを知っているこの男は誰なんだろう」に意識が振り向けられます(観ている側的には)。森久保さん演じる入浴剤さんは、「知りすぎ」なのです。精神科医だというし、今日が初対面のはずなのに、子供の頃の爪楊枝くんの様子を見てきたように語っている。状況が見えてくるにつれ、深まる謎もある、という、見事なコントロールでした。
      • このくだり、小野賢章さんはつらい戦いの真っ最中です。もちろん演技でやっているわけですが、それでもかなり素に近い反応というか、本当に話が見えてこないので、本気で困惑し、本気で考えています。森久保さんは内心ほくそ笑んでいたでしょう。オーディオコメンタリーが実に楽しみです。
  • Cキャストの登場場面へ。意外や意外、女性の乱入! バスに乗り込むなり、いきなり森久保さんを捕まえ、強引に迫っていきます。その口調、手つき……何かを思い出しますね? 森久保さんが押さえこもうとしましたが、やはりこの人相手では無理でしょう。爪楊枝くんの母親、ナオコさんでした。「刺激を与えたくなかったのに」とため息交じりの森久保さん、いかにも専門家らしい呟きが素晴らしいです。
    • バスの運転手さんに「あらイケメン」と迫るなど、破天荒なナオコさんを演じたのは、小山めぐみさん。前回の森久保さんの公演で勉強し、ナオコ像を再現する形でのご登場です。手の動きや行動パターンなどの基礎は、前公演の森久保さんのものを引き継いでいます。見事な存在感でした。
  • 次の場面、事故現場へ。小野賢章さん演じる爪楊枝くんが、自分の状況の謎を解き明かす場面です。本当に見事なほど森久保さんの狙い通りの進行なのだと思います。
    • 懸命に思い出そうとする小野賢章さんの芝居には、誠実さというか、ひたむきさのようなものがあります。精神が安定しているんですよね。
      • 賢章さんがどこまで計算していたか分かりませんが、「心を閉ざしている」と「事故で意識不明」には、キャラクターとしてかなり開きがあります。事故で意識不明ということならメンタルの弱さを想定しなくてよいので、むしろまっとうな人格になるのかもしれません。
    • 隕石の衝突を、奇跡的にも生き延びた人類。けれど、爪楊枝くんの父親は不運にも隕石の衝突の影響で落命していました。父に反発し、自衛隊に入っていた爪楊枝くんも、災害救助の現場に向かう途中で事故に遭い……。
    • 自分の陥った状況の謎が解けたことで、連鎖的に入浴剤さんの正体も分かります。制限時間に追い立てられた入浴剤さんは、「この際警告されてもいい」と、一気に謎の種明かしに走ります。精神科医として、ポジティブギブアップに耐えられなかった人の心と向き合い続けた杉山でしたが、どうしても耐えられず、自ら死を選んだ患者もたくさんいたと言います。いつしか、その患者の魂が杉山の中には宿っていたというのです。
      • 「25人います」と言われた時の小野賢章さんの表情もう一回観たい。
    • 杉山は、己に宿った魂の一人「ナオコ」の頼みで、ここにマインドダイブしてきたと言います。息子の事故、意識不明という状態を知った「ナオコ」は、己の宿主・杉山に息子のことを託したのです。自分が成仏してしまう前に……。
      • ここにきて猛烈なシリアス展開。ここでのポイントは「誰のドラマなのか」です。実は、過去公演3つは「記憶喪失側」にメインのドラマがありました。ですが、本公演はその大部分が「ナオコ」に引き取られています。
  • 手紙を読む場面。書面の途中でバトンタッチしたナオコは、息子への悔恨と愛をつづり、「目を覚ます前に、いつも二人で行ったあの場所に来てください。待っています」と伝えます。
    • 【個人的感想】ここ、大喝采でした。通常、このAD-LIVE2016脚本で最終場面をふつうに設定すると「現実世界」に出てしまいます。言い換えれば、「マインドダイブ見学ツアー」から抜けてしまうんです。これは、会場をベルソン社日本支社に、観客席をマインドダイブ見学ツアーに見立てているとすると、強烈な矛盾を生みます。終演後のアナウンスにも「本日はベルソン社マインドダイブ見学ツアーをご利用いただき、ありがとうございます」という文言が含まれておりますので、カメラの位置が行ったり来たりすることになってしまう。ところが、今回の森久保さんのプランでは、最終場面もまだ心の中、ということで、このあたりの辻褄が完全に合ったまま終幕を迎えてくれました。ここまでは狙っていないのかもしれませんが、私は「この形の公演があってよかった」と心から思えました。
    • 暗転を挟み、夜の公園の場面。……待っているのは当然、精神科医・杉山ではなく……
      • 手紙を読みながらの着替え&メイク。当然覚悟の上でしょうし、練習もしていると思いますが、それでも相当大変だったかと思います。ウィッグにつけまと、大変身を遂げさせたメイクさんを大絶賛したい場面転換です。手紙の文言も事前収録はしていないはずなので、おそらくある程度、喋りながらメイクを実施しています。

以上でした! ああー、書いた書いた。この公演こそ、2回、3回鑑賞で心打たれる回ですよ。では今日も「あとりぶ」行ってきます。