AD-LIVE 2016 9/10(土) 夜公演 考察 寺島拓篤・鈴村健一(リピート用のフラッシュメモ)

前記事と同様に、AD-LIVE2016 9/10(土) 夜公演の膨大なネタバレを含むので、未見の方は即座に閉じてください。

これは、私のように「ライブビューイングも観て、あとりぶも観る」、しかも役者の脳内にも迫ってみたいZE、というけっこう奇特な方のために即興で(アドリブで)書きつけるものです。のちにDVD発売に向けて追記するかも。

ではしばし開けて……



















一気にいきましょう。

  • 寺島拓篤さんの先攻でスタート。
    • ビジュアルで勝負できる姿で登場、さっそく会場の笑いを誘います。
      • 【推測】会場の反応は、舞台上の鈴村さんにも聴こえています。(濃いキャラきたか……?)ぐらいの予想をする感じ。
    • 冒頭のクイズセッションでは、お互いの「声の芝居」がメインの情報源になります。寺島さんはすっとぼけた年より声で「改造」をはじめとした単語をちょい出しし、「博士と改造人間」の周辺情報を整えていきます。
    • 相手は「特撮作品好き」で知られる鈴村健一さんです。その意味で、この設定は鈴村さんリスペクトと言っていいものでした。考えようによっては、いかにも、という滑り出しなのですよね。鈴村さんも瞬間的に状況をくみ取り、「意識ができたばかりの改造人間」のプランを構築しています。
    • 後のカーテンコールで軽く触れられていますが、ここでの鈴村さんの構築は、「ヒーローキャラクター(成立前)」です。記憶喪失側のキャラクターのドラマとしては、「記憶の喪失による必須要素の欠落」があり、その獲得が目指されなくてはなりません。なので、鈴村さんとしては「まだ正義の心は持っていない、90分で正義に目覚める」という目標を設定しているわけです。
  • 二人を遮る幕が外され、金髪ヤンキー・上野サトル(演:鈴村健一)と博士風おじいちゃん・田中(演:寺島拓篤)の初遭遇。鈴村さんの芝居プランは「やや柄の悪い若造」になっています(『Thunderbolt Funtasy』の捲殘雲に近い発語で個人的にほくほくしていました)。
    • アドリブワードのおかげで固有名詞がどんどん残念になっていく途中、情報を開陳しすぎた田中がシステムの警告を受けます。ここで寺島さんは「あ、やべ」と普通のトーンで発声。これが伏線になっていました。
  • バス停が現れ、バスに乗り込みます。
    • バス停選びの場面では声優・寺島拓篤の遊び心が発揮されました。ああいうベタなセリフを瞬間的に構築できるのは、オタクを自称する寺島さんの偉大な強みだと思います。このまま話が進んでいたら、鈴村さんも終盤で同じことをしたでしょう。
    • 特撮基礎知識に強い鈴村さんがきっちりバスに反応していくところ、乗り込んだ途端に口調がだだ崩れになる寺島さん。「なんだよー、ほんとに信じたのー? バカだなあ」からの設定ちゃぶ台返しが炸裂しました。実に見事な采配です。
      • AD-LIVE2016は、謎が物語をけん引する機構になっています。観客は防御側(記憶喪失側)の心理を追跡しているので、鈴村さんと同じくひっくり返りました。のちに鈴村さんが別公演のアフタートークで「君ら世代はこういうサプライズ好きなのよ。寺島くんも煙に巻く巻く」とコメントしています。
      • また、AD-LIVEに「作中作」の概念を露骨に適用できたのもおそらくこの公演が初なんじゃないでしょうか。2015年も近い主旨でしたが、このような形ではありませんでした。
  • バス内、衣装ひとつで正解を確定し、スタイリッシュに「相棒」関係を成立させました。ここからは思い出話の旅になっていきます。
    • バス内から次の場面・郵便局までは実質的に鈴村さんのターン。「身体が覚えてる」をうまく軸にして、関係の立体感に貢献しています。一方、寺島さんの反応も露骨に軽口が混じり、気の置けない仲であることを予感させます。
    • お笑いとはいえ芸能の世界の話なので、2人が語るディテールにはややリアルさがあります。お笑い芸人と声優、「役者」という共通項があり、売れる・売れないとの戦いもシビアです。
      • 【余談】バス内に置かれていた「ドッキリ!」の札は、AD-LIVE2015のボツアイテムだと思います。アニメイト池袋で行われた展示で公開されていたものです。手元のメモによると、「初期の設定では、「真心プログラム(爆破演出)」からプログラム参加者がロビーフロアへ戻ってきた際、このドッキリプラカードを持って出迎える予定でした。しかし設定の変更により、ドッキリプラカードによる演出はボツとなりました。」だそうです。まさかの再利用ですが、当然、鈴村プロデューサーは関わっていません。
  • 再びバスに乗り込み、Cキャスト・サクマの乱入へ。
    • 本公演のキラーキャラクターの登場です。いったんは「業界の先輩」という風に誘導しましたが、Cキャスト本人がその設定を拒否。学生時代に袂を分かったかつての仲間、ということになりました。結果的にこれが大正解です。
      • 翌日に分かることですが、Cキャストは攻撃側の設定を読み込んで当日に臨んでいます。事前準備をしているのです。なので、舞台上の何も知らない防御側が構築してしまうよりは、Cキャストのプランを成立させたほうが妥当に進行するのでしょう。
    • かつての仲間として、今売れている芸能人として、上野にダメ出しをして去っていくサクマ。この流れを寺島・鈴村両名が完璧なまでに拾い上げます。
    • 鈴村さんの「……なんであいつと一緒にやらなかったんだろうな」が珠玉です。白眉。ここからの鈴村さんの発語はどれも繊細ながら、その後の流れをきわめてクリーンに規定していく、匠の技と言っていいほどのものです。それに応じる寺島さんの「あいつは、バランスのいい天才。お前が天才すぎんの」もまた震え上がるほどの収まりの良さでした。なにせ、昼公演も含め、アドリブワードの引きについては今回の鈴村さんは無双状態で、指に神が宿ったかのごとき鬼神の引きを見せていました。それを踏まえて――というわけでは本当はないにしても、「お前のアドリブ力が凄すぎるんだ」とまとめていく流れには説得力が宿っています。
      • 寺島さんから鈴村さんへの熱いリスペクトの発露ですね。AD-LIVEの総合プロデューサーに向けて「アドリブ力が凄い」という話をするのですから、当然、寺島さんとしては最初からここにたどり着く想定でした。舞台上で鈴村さんは誰よりうまくアドリブワードを駆使して立ち回るはずですもんね。寺島さんは、鈴村さんの役作りがどうなるかは何も知らなかったけれど、そのアドリブが凄まじいことだけは知っていた。だからシナリオに組み込んだのです。
      • 実はAD-LIVE作品中、アドリブバッグとアドリブワードの存在は半分消失しています(持っていることに誰も触れません)。なので、鈴村さんのアドリブ行為を内側で観測してしまうのは一種の越境でした。寺島さんの思い切りの良さが出ています。
  • 場面変わってホテルへ。実際の上野がどのような状況かが軽いタッチで語られ、相棒としての心の交換に至ります。
    • サクマから「自信がない」という状況を拾っていた鈴村さんが見事にまとめ上げ、寺島さんが「お前のアドリブがいちばん近くで観たい」とラブコールを寄せます。熱いリスペクト。照れちゃう。
  • 最終場面では、なんとほんの少しアレンジをかけて鈴村さんが登場。さすが脚本家、最終場面にも振れ幅を用意していました。そして、最後のワードも神がかっています。
    • このまとめの場面でアドリブワードを引く胆力、恐ろしいです。すばらしい度胸でした。
  • (追記)本公演、アフタートークにも奇跡が待っておりました。
    • 現れた川本成さんが「速い! あんたたちはすぐにバッグに手をつっこむ!!」と笑いをとりつつ、「でもあそこでの『×××』は本当にすごい」と振り返ってくれました。
    • この公演の鈴村健一さんのワード引きはそら恐ろしいほどのもの。凄かったよね!と盛り上がりつつ、再びバッグへと手を入れ……「このAD-LIVE、『アニメ化』します!!」。最後にも途轍もないディスティニードローをキメました。


以上、ちょっとぎりぎりすぎて焦って書いてます。では今日も「あとりぶ」行ってきます。