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即興劇「AD-LIVE2016」の出演者発表についての雑感

2017/06/13追記 この記事は2016年版の記事です。2017年版の記事はこちらです。



ちょっと日数開いちゃいました。
あんまり時間もないので、手短に書かせてください。細部はあらいんだ、申し訳ない。



さて、即興劇「AD-LIVE」の出演者が発表になりました。

AD-LIVE(アドリブ) 2017 - AD-LIVE Project

ここまで皆勤賞だった、櫻井孝宏さん、岩田光央さんの出演はなしという思い切った人選はあったものの、個人的には「大筋予想通り」でした。
特に、継続組 and 新人(復帰)組の図式が明らかなのはわかりやすいところです。


というのは、AD-LIVEの舞台においては「AD-LIVE初体験者のみでマッチングすることは極力しない」という不文律があるようでして、昨年、AD-LIVE2015においては、全公演に鈴村健一さんが自ら参戦するということでそのあたりをクリアーしていたからですね。

暫定的に、役割:レシーバーというものがあると仮定すると、AD-LIVE2015においてのレシーバーはまず鈴村健一さん。そして各公演としては、櫻井孝宏さん(対 津田健次郎さん)、岩田光央さん(対 浪川大輔さん)、梶裕貴さん(対 名塚佳織さん)、福山潤さん(対 下野紘さん)となるでしょう。

ありていに言ってしまうと、AD-LIVEの舞台を物語として成立させるためには、経験者によるアシストがあったほうがよい、という判断が働いていそうだ……ということです。

これは、2014年公演において、鈴村さん・櫻井さん・岩田さんの3人のうち、常にだれかひとりは舞台に立っていたことからも補強できそうな仮説です。

そんなわけで、AD-LIVE2015において、レシーバーとしての経験蓄積をしていたであろう梶さん、福山さんの継続出演は順当なところ。そこに小野賢章さんと釘宮理恵さんという、「初体験者同士で2公演プレイした」2人が継続出演、さらに、最強の必殺技:即興ソングを持つ下野紘さんが継続出演ということで、狙いとしては、「これからもっとAD-LIVEであれこれやりたいので、レシーバーができる人をばしばし増やしたいよね!」という印象を受けています。

森久保祥太郎さんの復帰をはじめ、寺島拓篤さん・中村悠一さんの参加も同様の印象です。特に寺島拓篤さんは来年度も継続して登場しそうなところ。期待がかかりますね。

もちろん、舞台経験豊富な浅沼晋太郎さんの参加も欠かすことはできません。演出面での参加のみならず、鈴村さんの初日参加と対になる最終日参加なのも趣深い。このあたりは、「AD-LIVEの脚本構造・イベントのトリガーを誰が引くのか」みたいなところとちょっとかかわるところです。脚本構造について書く機会がきたら、改めて少し触れます。


「あれこれやりたい」というのは、全体から読み取れる傾向かなとも思っています。
つまり、今この時点では「余計な縛りをとっぱらいたい」フェイズかと思うので、たとえば「○○さんは必ず出演する」とか、「男性声優の舞台だ」とか、「20代から40代の声優が出演する」とか、そういう固定観念については積極的に打ち砕いていく方向なのかな、ということです*1

鈴村さんのプレイヤー復帰(すなわち全日出演の回避)、釘宮理恵さんと高垣彩陽さんによる女性同士のマッチング、堀内賢雄さんのご出演などなど、すべてAD-LIVEの枠組みを広げるための選択に寄っていると思います*2

気が早い話ですが、2017年についてもこの傾向は継続すると思ってまして、熟練の女性声優さんの参加には期待がかかります。今の時点で候補になりそうなのは、くじらさんでしょうか……。朴ロ美(ロは王に路)さんだとちょっと若いぐらいかもしれません。



発表になったテーマ「会いたい人」についても、なかなか巧妙だなあと思っています。
これもまた昨年との対比になりますが、AD-LIVE2015のテーマ「ともだち」には、「恋愛の排除」が裏に含まれていそうだったからです。

女性キャストの初参加によって当然浮かび上がる男女の関係のうち、きわめてベタなひとつである恋愛関係。それを「ともだち」というテーマを掲げることで積極的に回避することに成功した2015年公演*3に続き、なるほど見事なテーマを出したものだと、拍手を惜しみません。

今回は男女ペアの公演がありませんので、舞台上で直接的に恋愛が起こることはありません。これなら「会いたい人」に最愛の人を想定できます。……プレイヤーの皆々様がそうするとは限りませんけども。

なお、テーマとAD-LIVEの「密室劇になりやすい」特性から考えると、悲劇になりやすい予感がしないでもありません。わかりやすいのは、「閉じ込められて、このままだと死んじゃう! そんなところに外部から電話*4が――」です。

ところで私は高垣彩陽さんの「自分とは断絶した人を想う」時の、輪郭のくっきりした芝居が大好きで大好きで、今回はテーマとの合わせ技で大注目しております。鈴村さんとの縁で言えば、SUPER SOUND THEATRE「Valkyrie 〜Story from RHINE GOLD〜」でのクケリ役はまさにそのタイプで、率直に言って最高でした。「ひたむき」とか「健気」とか……『機動戦士ガンダム00』のフェルト・グレイス役の時からすばらしかったですよね。今回の公演はどのように打ち出してくるのか、たいへん楽しみです。


えーと、とりあえず好き放題書きました。手短とはなんだったのか!

「AD-LIVEのRollとPlay 副読本:人狼バトル」「櫻井孝宏論」あたりを書きたくなりつつ、これからしばらく忙しいので、いつになるやら……
まずは来週末の満天ライブが楽しみです。

*1:あくまで今は、です。例えば今回は出演のない櫻井さんや岩田さんだってまた次公演に復帰してくる可能性は大いにあると思います

*2:特に年齢層の拡大は予想していたところでした。実は内心「森川智之さんか藤原啓治さんはあるかも……」と思っていたのですが、もっと熟練の方のご登場でした。事務所所長枠という読みは合っていたのですが、踏み込みが足りなかったです(笑)。

*3:この点については、梶さんの昼公演の設定がとても見事な捌きで、「梶裕貴論」があれば触れたいと思います

*4:外から突発的にコールがかかるという「割り込み」感、片方の台詞しか聞こえない特性などなど、AD-LIVE脚本を構成する上での要件を満たしたギミックです