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そういえばあの時ぼくはセンサーくんだった

起き抜けの午後、シャワーを浴びている最中に唐突に記憶がつながって、「そういえばあの時ぼくはセンサーくんだった」と思い出した。

いつもの様式なら「フェイクありで」などとして、実際にフェイクを入れてしまうのだけれど、この記憶は今だけ鮮明にとらえられるもののように思えるので、できるだけ事実の通りに思い起こし、書き起こそうと思う。この文章にフェイクを混ぜてしまったら、ぼくは自分の文章によって記憶を外側から改ざんしてしまうだろうから。


もう20年以上は前のこと、当時のぼくは小学生だった。
ぼくの通っていた小学校は大きく二棟――正確にはそのそれぞれがさらに二棟――に分かれており、昇降口を抜けて左手側に下級生棟、右手側に上級生棟があった。各棟には各学年4つの教室と、一部の専門室(音楽室とか、家庭科室とか)が分かれて入っていて、それらをつなぐ部分にも、図書室なんかがあったように記憶している。

そして、昇降口を上がって右手に折れ、左手には上に上がる階段、右手には上級生側の教室に入る廊下が見えるロビー的空間に、階段に寄り添うように売店があった。売店、というほどのスペースではきっとない。その空間に、スタンド式の、回転するタイプの本棚がいくつか展開され、ノートがさしてあって、キャスターのついたガラスの展示ケースには中にも上にも小物が置いてあった。三角定規やら分度器、肥後守なんかはケースの中だったかな。

そしてそこには、「売店のおっちゃん」がいたのだ。禿げ気味で、藍色のエプロンをして、陽気なおっちゃんが。

おっちゃんはいつも立っていたように思う。休み時間で、生徒を見たから立ち上がっただけなのかもしれない。小学校では、授業時間中には商売はそうそう起こらないだろうから。

階段の下には扉があったような記憶もある。たぶんきっと倉庫だろう。もしかしたら売店のおっちゃんがちらっと座れる机のようなスペースがあったかもしれない。下校時刻を過ぎたら、そこにガラスケースやら棚やらを押し込んでいたのだろう。

ぴかぴかの1年生、学校案内の最中に、そこも紹介された。必要なものはここで買えるから、というような。上級生の棟に近い場所にあったから、1年生にとっては少しの遠出。じゆうちょう130円。それだけはよく覚えている。

1年生に上がってすぐ、ぼくが初めて売店のおっちゃんと話した時、そこでおっちゃんはぼくに「センサーくん」とあだなをつけてしまった。ぼくの通っていた小学校では当時、1年生はみな名札をつけるきまりだった(今時、個人情報を胸からさげることもないだろうが)。ちゃんと名乗ったのだと思うが、こちらがうまく名乗らなくても名前は読めただろう。話が前後してしまったが、売店のおっちゃんは、ぼくの名前をもじって「センサーくん」と呼んだのだった。

ぼくがその小学校に通っている6年間、売店のおっちゃんは代替わりをせず、おっちゃんにとってぼくは変わらず「センサーくん」であり続けた。

今、大人になって、6年間ものあいだ、あるひとりの子どもを「センサーくん」と呼び続けることについて、ぼくは何かしらを思ってしまう。


ついでに、ぼくは女性なので、女の子を「センサーくん」と呼んでいたことにもなる。――なら一人称を「わたし」にしろよわかりづらい、との用向きもあろうが、3音節の「ぼくは」のほうが、「わたしは」よりおさまりがいい気がしてつい。


ともあれ。
ぼくが「センサーくん」であったことを、もちろんおっちゃんは忘れてくれていて構わない。いい思い出になっているなら、それはとてもすごいことだ。
わたしにとってはいい思い出だ。こうして、たまたまとらえたこの日のこのうちに、書き残しておきたくなるくらいに。

きっと、いまあの売店のおっちゃんと再会したとして、お互いのことを覚えていたとして、話が弾むのはせいぜい5分だろうが、5分も話が弾めば十分すぎるはずだ。



2017年もよろしくお願いします。

知的財産権の侵害と営業妨害について、つれづれなる

blog.livedoor.jp

 上記のとてもとても良い記事を読みまして。二度、三度と通読しまして。
 そして、「あーあ」となりました。この「あーあ」はいろんな気持ちがこもった「あーあ」なのです。なので、書く。

 その後、村上謙三久さんがTwitterの『ラジオの時間』公式アカウント(@time_of_radio)で

本来なら「著作権」というより、「権利意識」という言い方をするべきでした。(https://twitter.com/time_of_radio/status/810305093404913665

偉そうにブログで書いてしまいましたが、同時に「僕ももう少し踏み込んで学んでいかなければ」と反省しております。(https://twitter.com/time_of_radio/status/810323231186026496

と書いているように、「この言葉づかいでいいんだっけ?」とクエスチョンマークが浮かぶ個所がいくつかあるように思えるものの、大筋として十分に正しく、同時に、この現実の情勢に対してあまりに無力というか、あまりに遠しなのです。私は軽く絶望した!*1ので、せめては新しきエントリを記して、つれづれなる思索に挑みますか、という気持ちになり、こんなことを書き始めています。

 フランスよりも遠いぞぉ、この地平は。


 以下、「引用」とだけある場合は、上述のエントリより。

(1)Twitterで勝手に画像を上げちゃいけないのはわかってます。でも、アイコンやヘッダーならOKですよね?

 ×です。つぶやきであろうと、アイコンであろうと同じです。たぶん3~5割ぐらいの人がアウトなのでは? トリミングしたり、一部修正したりしても「×」です。写真のみならず、イラスト、漫画、広告なども基本的にはダメです。 (引用)

 なぜ「×」なのか? 公衆送信権送信可能化権著作権法23条1項)を侵害しているからですね。トリミング、一部修正は同一性保持権(著作権法20条1項)の侵害にあたる可能性があります。公式画像をキャプチャしてだよ、それでさあ、他の画像とがっちゃんこなんかしちゃってアイコンにしたら、そらもう! フルコンボよ!
 人物の写真の場合には肖像権があり、特に声優やアイドルのような職業にある方たちであれば(著作権法上の明確な規定はないにせよ)パブリシティ権が認められますから、これもまた侵害行為デスよ。

 Twitterアイコンなどについては、今は公式サイトが配布している例が多数あります。例えば今をときめくTVアニメ『ユーリ!!! ON ICE』でも、公式サイトの「SPECIAL」コーナーにあります(こんなふうに)。
 「だからオッケーでしょ?」、ええ、改変しなければ。プリクラなどではおなじみの「フレーム」をかぶせれば、同一性保持権の侵害が成立してしまいます。

 とにかく個人的にこれがキツイです。実際にTwitterをざっと眺めるだけで、それ侵害だよね?って事例は山ほど見かけます。そして、私が知的財産権の保持者ではない以上、「侵害ですよ」という指摘は法的になんの意味も持ちません。ただ、自分が見かけ、時には言葉を交わしたあの人が、「権利意識に関する知識がないか、権利意識そのものがないか、そのどちらかである」ということが、私の中では確信めいていく。これが「あーあ」なのでした。

(2)公式サイトやブログに画像が上がっているんだから、これをスクショしたり、画像保存してアップするのは問題ないはず。

 ×です。これらも全て権利侵害の範疇となります。 (引用)

 上記と同様、公衆送信権送信可能化権の侵害に相当します。ただし、画像URL*2直リンクであれば、原則的に「著作権法上の」問題はありません。その代わりに、サーバへの寄りかかりを発生させもするので、そのアクセス量が甚大になればサーバの処理能力を食いつぶし、極端な場合にはサーバダウンすらも引き起こしうるので、電気窃盗(盗電)のような、無体財産へのなにがしかというタイプの問題は残るんじゃないですかね。

(3)画像はNGですけど、動画からスクショするのは問題なし!

 ×です。声優ラジオでよく見かけますが、全て権利の侵害です。公式アカウントが権利関係をクリアしてやるのはOKですが、だからと言って、一般リスナーがやるのは×です。 (引用)

 ちょっとこれは文言が説明不足かもしれないかな、と思っています。「スクショする」だけでは侵害とは言えないんじゃないでしょうか……。やはり「公開・再アップ」がセットのほうが、明確な侵害行為っぽい事例です。

 それに、これは「引用」の成立に該当する可能性がそれなりにあるように思えます。
 出典元を明記しつつ、スクリーンショットを明確に「従」の側に置くような自作の文章等をセットにして同じ場所に置けば、引用の要件は成立するように感じられます(これについては個人の感性です)。

 トハイヱ、いえ、とはいえ、1ツイートにつき140字という制限のあるTwitterに限ってみれば、引用要件を満たせるほどの「主」をそこに乗っけられるかはとても怪しい。文字数だけが意味ではないが、意味は文字数に制限されるものですし。

 また、たとえばもっと大きい話にしてみたって、アニメなどの解説を書籍で行うためにある場面の画を掲載するとした場合、それが明らかに引用の範疇だと多くの人が見なしたとしても、出版社は権利者の皆々様に確認を取りにいくでしょう。慎重にやるものですよ、こういうのって。していないとこういうこと*3になる。

(4)好きな声優さんがTwitterにアップしている写真がかわいい。よし、これを保存して、自分のアカウントでもアップしよう。

 ×です。もしそれを広めたい場合は公式からのリツイートで対応しましょう。リツイートは権利的に問題ありません。 (引用)

 そのための公式リツイートです!
 とだけ書くと、「主」が作れないので、少し枝道と知りながら書く。

 自分でもダウンロード保存したい、という欲望――失礼、願いについて、アーカイブ性を根拠に正当化する理路がないでもないのだけれど、ここに応えたサービスに「ウェブ魚拓http://megalodon.jp/)」がある。「ウェブ魚拓」の場合は、そのキャッシュに「いつの時点のキャッシュか」ということが合わせて記録されるので、ある時点でのアーカイブとしてはもちろん、データ削除による「消し逃げ」を追う証拠として、スナップショット、スクリーンショットと同様の機能を持っている。
 何が言いたいかというと、アーカイブがとか言うなら「ウェブ魚拓」使いなさい、ってこった。

 

(5)Amazonで今度買う声優雑誌の表紙がアップされている! この本、売れてほしいんだよなあ。よし、これをスクショしてつぶやこう!

 ×です。Amazonの画像をアップしたい場合は、URLで紐付けしましょう。Amazonに上がっている画像自体は著作権をクリアしています。 (引用)

 これが実はいちばん自分的にあいまいなところ。どうなんでしょうね?

 「スクリーンショット&アップ」ですので、引用が成立しうる可能性がある。
 例えば「Amazon販売ページ」のスクリーンショットに対して、「予約受けつけが開始していました! 発売日は〇〇、価格△△円。売り切れの危険があると思うので、私は即予約しました。今のうちにみんなも予約しよう!」ぐらい書くと、主従の「主」は文章の側にあると言えなくもなさそうに思えます。よりお詳しい方の説明が聞いてみたい。
 もちろん、URL紐づけのほうが絶対に問題がないのは確かです。


 こうしてつれづれ補足っぽいようなことを書いてきたのは、主に知的財産権の侵害事例を峻別し、その線引きを考えるためだったのだけれども、私自身の興味は、もう少しあいまいな領域にそのフォーカスがある。

 具体的にはAD-LIVEです(またここかい、そりゃそうです)。

 私はAD-LIVE2016全12公演を全部観て、全公演についてあれこれ書きました。書いた目的は「AD-LIVEを楽しんでもらいたい!」だったし、だからこそ「ここに書くべきでないこと」にもそれなりに熱い思いを持って臨んだのですが、全公演の上映が終了し、DVD、Blu-rayの発売を控えた今、その判断基準は変化してしかるべきなんじゃないか、と思うのですよ。

 知的財産権の侵害ではなくっても、営業妨害ってことだってあるじゃないですか。

 だって、「この記事があるからパッケージは買わなくていいや」となられたら困ります。誰が困るって、AD-LIVEスタッフが困り、続いて私が困ります。まだまだ続く、まだまだ広がるAD-LIVEのために、映像パッケージだって売れてほしいんです。

 したがって、売上を減少させる可能性があるのなら、今までの記事は全部ひっこめたい、ひっこめなければなりません。「こりゃあ映像パッケージを買わないと損だぞ!?」と思われるような記事に仕立て直して、今までのものはひっそりと私だけが愛でられるところに……

 ……なーんてことが、「あーあ」に込められたのでした。

 「あーあ」。

 
 それと、『声優ラジオの時間 ユニゾン!』は購入しております。年末進行とコミケで今はさすがに厳しいので、年明け、休みになったらじっくり読むつもりです。
 村上さん、良い本と良いエントリをありがとうございます! とても感謝しています。

*1:『声優ラジオの時間 アンコール』には伝説のWebラジオ「さよなら絶望放送」に関する特集があるので買うてください。Amazonリンクはこちら(NOTアフィ)。

*2:このような用例の場合は。URL(Uniform Resource Locator、統一資源位置指定子)よりも、URI(Uniform Resource Identifier、統一資源識別子)のほうが意味としては妥当のように思えます(完全に脇道)。

*3:ハイスコアガール」自主回収、連載は継続 - コミックナタリー、2014年8月7日 19:11

AD-LIVE2016 BELLSON社の社員証について

AD-LIVE2016のライブビューイングで行われていた、「半券プレゼント企画」。

本当にありがたいことに、C賞の「BELLSON社 社員証」に当選したようで、現物が届きましたので、写真をちょいちょい掲載しようと思います。……特に「非公開にせよ」的なご注意はなかったので大丈夫だと思うんですけど。もしコメント欄等々でお叱りをうけるようなことがあればすぐ削除対応をしようと思っていますよ。


では、改めまして。
こちらが現物(名前部分は画像をいじって隠しました)。
f:id:talko:20161207211937j:plain

カードだけ届くかと思っていたら、ストラップごとお送りくださいました。赤いネックストラップなので、責任者系(おそらくAniplex社員)の方が着用なさっていたものと思われます。もちろん、カーテンコールでの鈴村健一さん、公演中の浅沼晋太郎さんが身につけていたものではありません。*1

なお、裏面は真っ白。
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……会場でちらっと見えちゃった記憶ですと、公演当日、裏側にはスケジュールとか、無線コード表とかのメモを入れた方がおられました。

カードだけを取り出すとこんな感じです。

f:id:talko:20161207212003j:plain

実物は、交通系電子マネーカードや、クレジットカードのようなプラスチックカードです。

左上に入っているのは「マインドダイブ」のロゴです。パンフレットにも記載されています。
左下の数字「19820401」は、ベルソン社の創立日、1982年4月1日を数字8桁にしたものでしょう。この情報もパンフレットどおり。

左側の後ろに入っているネットワーク図は、パンフレット表紙のアレンジかと思いきや、ノードの配置が一致するところを見つけられず……もしかしたら、社員証のために作ったのかもしれないですね。

名前横の金のアイコンは、ICチップを意識したデザインかなと推測しています。デザインの基はいまのところ見当がつけられていません。
また、その下のバーコードはウソバーコードのようです。読み取りを試しましたが反応しませんでした*2


なお、記載されていた名前についてです。

名前はローマ字で綴られており、私のところに届いたものではイングランド系の名前に近いお名前が書かれていました。しかも、とても有名な劇作家の名前にかなり似ています。このあたり、「へえ」と思いました。ただし、まったく同じ綴りではなく、綴りが一文字異なっていました。オマージュのつもりでタイプミスしたのか、本当は劇作家ではなく何か別の由来があるのかは不明です。

それはそうと、なぜ、画像をいじってまで名前を隠したかというと…… 掲載されていた綴りそのままズバリで完全検索すると、あまり大っぴらに語るものでもなさそうなページにたどり着いたからです。したがって、あんまりその綴りは公開すべきではないかな、と。もうこれ以上は言いません!


はい、そんな感じでした。
楽しすぎた3か月どころか、たいへんありがたい、貴重な記念品をいただき、AD-LIVEには本当に頭が上がりません。映像パッケージもきっちり予約しましたので、今から発売が楽しみです。アドリブクエスチョンを全力で送っていますので、もしかしたら使われるかも、という楽しみもあったりします。

どこまでもいつまでも楽しみがつきないAD-LIVE、本当に大好きです。

*1:あちらのカードだと、名前部分は「Staff」となっていたはずです。

*2:「19820401」での短縮8桁生成とも異なるようでしたし、手作業でそれっぽくした可能性がありますね。バーコードの仕様と見比べると、空白の幅がありすぎるようにも感じます

マラソンするアプリゲームと、運の荒波、ちょっとだけAD-LIVEの話

ガチャ一回で最高レアである☆4を一点引きしてしまったので、ボーイフレンド(仮)きらめきノート(リンク先・音注意)でマラソンしてみております。でもたぶんこれ無理なやつです。


スマートフォンゲームではもはや恒例となった「期間中のプレイ成績」によるランキングイベントは、"報われ"の構造が明確であり、極めてジャパンな感じがいたしますね*1

しかし、アプリゲームにはもうひとつ、大きなマラソンがありますよね。リセットマラソン、通称リセマラが。

こちらは、運(ゲーマー的にはリアルラック)を試行回数で突破するという趣旨のもので、いつ終わるかもわからないところが苦しいところです。性能だけを突き詰めればいいとも限らず、俗に「終了候補」と言われるものの中でも、特に一部、場合によっては一点を狙う場合には、ことによると1000分の1以下を10連+1で狙う場合もあり*2、なかなかシビアです。


1Fの操作、256分の1を常にくり返すようなTAS(Tool-Assisted Superplay)領域のなにかを、単純な試行回数で突破するリセットマラソンは、すなわち、人力やり込みにおいてはゲーム内タイムアタック、通称TAの時に行われるプレイでもあります。

そう考えると、リセットマラソンが一部プレイヤーに積極的に実施されているこの状況は、スマホゲームプレイヤー総やり込み人化現象ともいえるような気がします。

一方で、ランダム事象のカタルシスは、ボタンを押すと餌が出てくる機械を用いた動物実験でも示されているところで、僕らは常に偶然なる事象に振りまわされているのかもしれません。

かといって、ここでいう運は、実は結果ではなかったりします。運はどちらかというと、どのように扱うべきかを試される何かです。

運の荒波を乗り越えることがゲーム性に寄与する、というのは、多くのゲームで見られる構造です。小規模なところでは、「ぷよぷよ」「テトリス」に代表される落ちもの系ゲームの「NEXT」がそれですし、より大きな流れの中で言えば、「風来のシレン」など、不思議のダンジョン系もまた、運の波をいかに乗りこなすか、ということがゲーム性の主たる部分です。

話が逸れますが、SFC版「風来のシレン」の初期ダンジョンであるテーブルマウンテンは、慣れた風来人(プレイヤーのこと)であれば、ほぼ100%攻略することができます。めちゃくちゃな大事故があると頓死することがありますが、その可能性は相当なレベルまで減ります*3

何が言いたいかというと、「運を乗りこなし、時にねじふせることは楽しいことだ」と言いたい。


ちょっとだけAD-LIVEの話に持っていきますが、あれもまた、アドリブワードという偶然をどう扱うか、という楽しさがあるように思えます。アドリブワード自体は一定の傾向を持たされていますし、何より「任意のタイミングで引ける」ということでもあるので、コンピュータゲームにあるランダムとはまたちょっと解釈を変えるべきでしょうが、「くせになる」楽しさがあるのは間違いないと思いますよ。


なんとなく論が発散してしまったので、この辺でいったん閉じ、きらめきノートをプレイしてこようと思います。判定がかなりシビアで苦しんでいます。スタミナ食いすぎで上位難易度練習できないってばさ!

*1:JRPGの主たる特徴に、"蓄積型経験値制"が含まれていることの話です

*2:仮に1000分の1&11連で計算したら、終了確率は約1.19%でした

*3:そして大体の場合、その事故は1フロア目で起こります

岡本信彦『Happiece』回収騒ぎについて思うこと-株式会社ランティスについての雑感

ああ、AD-LIVE大阪公演の直前にこんなニュースを目にしてしまうこと自体がとてもつらい……

岡本信彦1stフルアルバム『Happiece』収録内容不備のお知らせとお詫び | News | Lantis web site

岡本信彦さん「Happiece」収録「僕らのカタストロフィ」につきまして | News | Lantis web site

平成28年10月26日に発売いたしました岡本信彦さんの1st Full Album「Happiece」に収録されている「僕らのカタストロフィ」が、すでに発表されています鈴村健一さんの楽曲「ひとつ」と同作曲家による同楽曲であるということが発覚いたしました。

経緯につきましては、すでに楽曲が存在しているにも関わらず、CD化がされていなかったことが理由で弊社が正式な楽曲登録を行わなかったため、未発表楽曲という扱いで岡本信彦さんのアルバム制作課程*1の中で同楽曲が提案され収録されたという状況です。

メーカーである弊社の楽曲登録の不備、管理不行き届きにより、このような事態を起こしました事に関して、鈴村健一さん、岡本信彦さんはじめ、作品を楽しみにお待ちいただいておりましたファンの皆様及び関係者の皆様に多大なご迷惑をお掛けする事態となりましたことを深くお詫び申し上げます。

経緯については引用部でそれなりに説明されていると思うので、これ以上を語る必要はないと思います。

(追記)そもそも、楽曲「ひとつ」の権利関係がどのような構造になっているかも不明*2で、楽曲の再使用が権利的な意味で妥当だったのかどうか、判断できる材料はないと考えます。また、作曲(「僕らのカタストロフィ」においては作詞も担当)の倉内達矢さんが、当該楽曲に対してどのような認識だったかも定かではありません。

(さらに追記)Twitterでいくつかの誤解を見かけたので追記しておきます。
ここで話題に上がっている楽曲「ひとつ」は、アニメ『ヒカルの碁』のキャラクターソングである「ひとつ」(伊角慎一郎(CV.鈴村健一)、作詞:藤林聖子、作曲:住吉中)とは異なる楽曲です。以下、こちらを指す場合は【伊角名義】とします。

鈴村健一名義の「ひとつ」は、〈Live Tour 2014 VESSEL〉2014/09/20 香川・高松オリーブホール公演で初披露され、ツアー全9公演、〈満天LIVE 2015 luna〉および〈sol〉、〈満天LIVE2016〉の2DAYSで披露されたものです。2014年ツアーのDVD/Blu-ray、満天LIVE2015のDVD/Blu-rayにのみ収録されています。CD音源化はされておらず、また、「Original Entertainment Paradise(通称:おれパラ)」等の対バン・フェス系のライブでも歌われたことはありません。ソロライブでのみ(しかも現時点ではソロライブでは例外なく)歌唱されてきました。作詞を担当したのは鈴村健一本人であることが、ツアー中のMCその他で語られています。
(以上追記終了)


ここで触れておきたいのは、株式会社ランティスが自社の所属アーティスト「鈴村健一」に対して、特に2014年近辺に何を起こしてきたか、という話です。

2014年、3rdフルアルバム『VESSEL』発売時、こんなことがありました。

鈴村健一「VESSEL」商品封入のライブ先行チラシにつきまして | News | Lantis web site (リンク先本文削除済み?)

鈴村健一「VESSEL」商品封入ライブ先行チラシ当落結果、入金期間変更のお知らせ | News | Lantis web site

封入された先行申し込み用のチラシの一部に、シリアル番号が印字されないものがあったとのこと。


そして、その『VESSEL』ツアーのDVD/Blu-rayでは……

4月15日発売 鈴村健一「Live Tour2014 VESSEL」BD/DVD INDEX表記誤植のお知らせとお詫び | News | Lantis web site

鈴村健一「Live Tour2014 VESSEL」BD/DVDの商品に関しまして、
バックジャケットのINDEXに不備があることが判明いたしました。

そしてそして、まさにそのVESSELツアーで初めて使用された「ひとつ」に関する楽曲管理ミス……。

さすがに3件も重なってくると、2014年近辺での鈴村健一さんに対する扱いがよっぽどずさんだった印象がぬぐえません。

「手を抜くな!」とか、「アーティストをバカにしてる!」とか、そういう批判めいた話にはすべきではないと思いますし、私自身、したくもありません。どんな人も、どんな組織も、やらかしてしまう時はあるものだという立場に私は立ちたいです……たとえそれが良くないこと、組織として本来ありえない大ミスであったとしてもです。

一方で、このようなミスが3件も*3重なるというのは、〈スタッフが相互に仕事をチェックしフォローし合うという体制がランティスという会社には存在しない〉という、ひとつの証拠のように私には思えてなりません。


こうして過去のミスがきわめて手痛い形で発覚した以上、2014年当時の、必要であればそれ以前までさかのぼり、次なるミスがないよう、然るべき検証と対処を行ってほしい、と、切に願います。

*1:「過程」の誤字

*2:なお、当該楽曲の作曲家が誰なのかが公式に発表された機会は私の知る限り一度もありません。「ひとつ」の歌詞が掲載されたツアーのパンフレットでも、作曲者名の掲載はなかったと記憶しています。もし確定できる情報がここにあったよ!などの例があればぜひ知りたいので、コメントでお知らせいただければ嬉しいです。

*3:もちろん、それぞれ原因や責任の所在は異なるでしょう。けれど、そこを包括的に管理するのがレコード会社の意義のはずです

コミックマーケット、C90が無事終了という話、そしてC91へ続く、続き続ける

一部の私たちは時々忘れそうになるけれど、コミックマーケットとは二次創作の場ではないのだった。

コミックマーケットの理念

コミックマーケットは同人誌を中心として
すべての表現者を受け入れ、継続することを目的とした
表現の可能性を拡げる為の「場」である -コミケットマニュアルより引用-

今回、3日目に東4ホールで頒布されていた「量子コンピュータ手習い」に出会い、サイモン・シン『暗号解読』を再読していたというタイムリーさもあって、購入させていただいたのだけれど、この本はどう考えても二次創作ではない。

LaTeXで書かれたのだろうか、という組版のそれをぺらぺらとめくりながら、まだ内容を読み下すところまでは辿り着いておらず、ただ、通読までの時間をたっぷりと取っていいのだという、所有の贅沢さを堪能している。"入手"の意味は、ある意味ではタイムシフトにある。


閑話休題コミックマーケットはついにその開催90回を数え――コミケットスペシャルを加えればもう数回ほど回数は多いが――、つまり、順当にいけばあと5年後、2021年の夏にC100を迎える。

そして、その「順当にいけば」というところに、コミックマーケット準備会は挑み続けている。上述の「コミケットマニュアル」には、「場の継続に向けた意志」という項が独立で設けられており、彼らにとって、"継続"はそれほどまでに重い、最上位のものであるのだ。



コミケ終了直後には、はてなブックマークにもコミケ関連の記事がよく上がってくる。コスプレ、企業ブースは言うに及ばず、話題のサークル、スタッフの名言、トラブルの数々。かつてはローアングラー、今回はダミーサークルと徹夜組。

多くの人がそれぞれにそれぞれの立場で希望を述べていて、そのそれぞれに、私としても思うところがあるのだけれども、それに対処しなければならないコミックマーケット準備会は、まずは場の継続を最優先にし、コミックマーケットが中止になりうるリスクを絶対に取らない。

きっと、中止にするぐらいなら、縮小してでも開催するのだろう。

だから安心していい、というのも変だけれども、「次回のコミックマーケットは~」という文言は、コミックマーケットの理念に直結していて、だから、「コミケがなくなるかも」という想いを抱くときがくるならば、それは安易なものには決してなりえないだろう。


かつて、コミックマーケットはその代表を二度交代している。特に二度目の代表交代については、故・松智洋氏による『代表交代について・代表が代わった日』に詳しい。米沢代表――ここではもう米やんと書いてしまうけれど、つまるところ、コミックマーケットは米やんとともに滅ぶことを断固として拒否し、準備会を共同代表に委ねることで、自らの寿命を延ばした。

組織には生物学的な意味での寿命はない。組織は――「場」は、担い手がいなくなった時にこそ滅ぶ。


私は、コミックマーケットがずっと継続することを願っている。もちろん、表現の場として。

だから、自分がまだここにあるうちはその担い手でありたいし、自分の手からそれがこぼれ落ちていく時には、誰かに託せるようでありたいとも思う。


組織のタイムシフトだ。


そんなわけで、C90、おつかれさまでした。年末のC91に向けて、またしても続くとしましょうか。

【作品ネタバレなし】4DX・MX4D両方で『シン・ゴジラ』を観たのでレビュー

話題の『シン・ゴジラ』を4DX・MX4Dの両方で鑑賞したので、今から『シン・ゴジラ』を観たい、でもどれで観よう、と考えている方向けに、ほぼ作品のネタバレなしでレビューをする。
性質上、「どんな演出効果が使用されたか」には触れざるを得ないので、そこだけはごめんなさい。話の流れにはふれないようにしますので。

忙しい人向けの三行まとめはこのとおり。

  • 個人的には4DXをおすすめ(特にメガネ着用の人は4DXを推奨)
  • 映像をくまなくもれなく舐めつくしたいなら、IMAXがよろしいと思われる
  • 酔いの心配はあんまりない(補足あり)

また、これはあくまで『シン・ゴジラ』の鑑賞に限った話なので、別の映画であれば違う判断になるだろうことも合わせてご了承ください。

では、以下からそれぞれについて雑感。なお、私はメガネ着用・酔いについては強くもなく弱くもなく、というところ。

演出もりもりの4DX、アトラクションとして楽しみたい人向け

4DXは、ユナイテッド・シネマとしまえんにて鑑賞。上映前の予告編や、解説ムービーで4DXってどんなものかを体験させてもらえる。体験させてくれたのは『キング・オブ・エジプト』だった。

コロナワールドの解説によると、4DXが使う演出効果は、モーション・風・ミスト・香り・バブル・煙り・エアー・フラッシュ・雨・雪・嵐。

このうち、『シン・ゴジラ』鑑賞において特徴的だと感じたのは、風、エアー、煙り、雨の4つ*1

風とエアーにどういう違いがあるかと言うと、前者はふわりとした感触の表現に、後者は左右の区別をつけた風圧を体感するものとして使い分けられていた。特に、エアーによってもたらされる、顔の右、左それぞれに強い風が吹き抜ける感覚は、4DXオンリーのものと言える。ただし、体感的な演出としてはかなり強い感触があるので、それを臨場感があるものとして捉えられるか、驚いてしまってかえって集中できないと感じるかは人によって分かれそうだ。

また、煙りについては、白煙・黒煙の使い分けがあり、なかなかインパクトのある演出になっていた。とはいえ難点もあって、煙りなので完璧なコントロールはありえず、スクリーンにもばっちりかかってしまうのが気になるところ。なので、隅々まで映像を目に焼き付けたい、という要望とは相反するのは間違いなく、そうでなくても気が散る、という意見もあると思われる。割り切れれば面白みはあるはず(私は好き)。

また、これも4DXのみの演出である雨は、とても小さい粒が数粒、ぱらぱらっと身体に感じる程度だったので、服が濡れる心配をする必要はない。むしろ、半袖の人が多い今の季節のほうが向いている演出効果かと。分厚い服を着てると感じにくいかもしれないぐらい。

全体としては、演出もよく使い分けられていて、アトラクション感がしっかり体験できて楽しかった。が、気が散りやすい人にとっては演出過剰と感じられるかもしれず、そのあたりは個々人の集中力というか、没入しやすさにも影響されるかと。また、当然ながら座席が動くので、テロップ読み取りとの相性は良くはない。「じっくり眺めたい/アトラクション体験をしたい」は両立しないのでそのつもりで。

振動系の細かさが売りのMX4D、得意なところははっきりしている

MX4Dは、TOHOシネマズ 新宿にて鑑賞。こちらも本編上映前に体験させてくれた。題材は同じ『キング・オブ・エジプト』。図らずもこちらの予告でも比較ができ、私としてはありがたい限り。

同じくTOHOシネマズの解説によると、MX4Dの演出効果には、振動系として、ネックティクラー(首)、バックポーカー(背後)、レッグティクラー(足元)、ランブラー(地響き)、シートポッパー(突き上げ)があり、その他演出として、ウインド、エアーブラスト(噴射)、ウォーターブラスト、フォグ(霧)、ストロボがある。

この一覧にも表れているように、MX4Dのポイントは振動系演出の部位の細かさで、『シン・ゴジラ』でもそれは明らかだった。バックポーカーでは背中をドンと押されるような振動が、レッグティクラーでは、足元に小石が跳ねてそれがふくらはぎをかすめる時のような振動が与えられ、まさに全身で体感することが可能。……だが、個人的にはレッグティクラーはややくすぐったくも感じたので、もしかすると、ハーフパンツ着用などだと、けっこうぞわりと来るかもしれない。

実際に『シン・ゴジラ』においても、振動の演出は巧みに使い分けられており、これだけ使い分けてくれるのか!とわくわくできた場面がいくつもあった。特に戦闘シーンで、兵器が切り替わるたびに振動の質がぐいぐいと変わっていく感覚があり、これはMX4Dならではのものかと。また、バックポーカーがひときわ強い効果を上げている場面があり、まさにその場にいる感覚を味わわせてくれた。

一方、水と風系の効果の主軸となっていたウォーターブラストとエアーブラストはけっこう強烈で、「ブシューッ!」と急に吹き付けられると反射的に目を閉じてしまう。そのせいで一瞬画面から目をそらしてしまう結果に。また、なんといってもメガネが濡れる。それも、けっこうそれなりに濡れるので、私は時々ハンカチで拭った。劇場内でもメガネを拭う人の姿はそこそこ見られたので、メガネ必須の人にとっては、ややつらいのではと思う。

4DXと比較すると、演出がついている場面・ついていない場面の区別がはっきりしており、かなり自然な効果がついているおかげもあって、演出効果が良い意味で目立たない。そのぶんアトラクション感は薄めで、代わりに没入はしやすいのでは。

補足:酔いやすい人向けに

4DX、MX4Dとも、私は酔わなかった。また、どちらにも同行してくれた友人(車ではあまり酔わない、酔いにはやや強い)も、酔わなかった、と言っていた。なので、酔いの強さはごく普通程度、というなら心配する必要はないと思う。

もしも酔いやすい自覚があるなら、横4つ組になっている座席の真ん中の2席を選ぶことで、多少は揺れが軽減できる可能性があるかもしれない(船では端より中心のほうが揺れが少ない理屈)。

まとめとその他

以上、雑感でした。どちらにも長所があり、それぞれ楽しめるものの、私自身がメガネ着用ということもあり、「『シン・ゴジラ』については4DXやや優勢」がこの記事としての結論です。ただし、MX4Dについても、別の作品であれば迷わずMX4Dを選ぶだろうと思わせるだけの魅力があり、興味がある人にはどちらも体験していただきたいですね!

そして、繰り返しになりますが、どちらもアトラクションとしての動きがあるので、テロップの読み取り等には向かない。じっくり眺めたいならやはり別のスタイルで観るべきでしょう。私も後日IMAXでもう一回観るよ!


また、ネタバレありの4DX・MX4Dの比較記事もありましたので、ご紹介を。
d.hatena.ne.jp

というわけでした。お読みいただきありがとうございました。

*1:もちろん他の演出効果も使われています。